(モブ×マツバ)
※幼少マツバ捏造・ショタ注意



幼い頃の話だ。生まれつき持ち合わせていた特殊な力をうまく使いこなすため、修業に明け暮れていた僕の元に、一人の男が訪ねてきた。男は、その眼を鍛えるいい場所がある、と言って、僕の手を引いた。僕は抵抗しなかった。子供だったからだ。何も知らなかった。よそ者も、エンジュの外も、なにもかも。好奇心から、僕は男に自ら連れられたのだ。
しかし、男は僕の期待を全て裏切った。着いた先は町のはずれにある、当時既に使われていなかった小さな病院だった。男は、割れた注射器や瓶や書類が散乱する部屋に入り、僕の体を簡易ベッドに押し付けた。マツバくん、ずっと見てたんだよ、ずっとここから。男はうっとりと僕を見下ろして笑った。僕は絶望した。男はこの町の人間だったし、僕にこの町の外を見せてくれる人でもなかった。でもそれだけ、ただ落胆しただった、幼い僕には男の目的がわからなかったからだ。男が僕の服をめくり上げて、肌をべろりと舐めた時、悪寒が体中を駆けて、そこで初めて男を怖いと思った。僕は必死に暴れて抵抗した。しかし頬を思いっきり叩かれて、すぐ何も出来なくなった。男は、ただ泣きじゃくる僕の体を、ひたすらに撫でたり舐めたりして、開いたもう片方の手を自分のズボンの中に突っ込んで、忙しく動かしていた。その時は、男が何をしているのか理解できなかったが、荒くなる男の息遣いがただ恐ろしいと思った。気持ち悪い、早く帰りたい、誰か助けて、と強く目を閉じた僕は、ふと何かの気配を感じて、恐る恐る瞼を上げた。すると、僕に覆いかぶさる男の背後に、冷たそうな黒い影が、煙のように浮かんでいた。僕は不思議と怖いと思わなかった。それに向かって、たすけて、と呟いた。
その直後、男はぴたりと動きを止めた。そしてがたがたと全身を震わせてから、その場に崩れ落ちた。何が起こったのかわからず、恐怖を引きずったまま震える体を起こすと、部屋に甲高い笑い声が響き渡った。男を襲った黒い影が集まって形になっていく様子を見ながら、気付くと僕は笑っていた。"彼"と共になら、自分の未来が見えそう気がしたのだ。



それが、僕の最初の友達、頼れる相棒との出会いだった。



220615


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