(オデン)
夜中に突然尋ねてきたアフロは非常に酒臭かった。帰れと行っても帰らないし、扉の間に足挟んでくるし、その足をガツガツ蹴って強引に扉を閉めたらガンガン扉叩いてくるから、仕方なく家に入れたら玄関で抱き着かれた。酔っ払いのくせに力が半端なく、なかなか剥がれないから、背中を何度も殴った。あーっいたいいたいいたい、とかほざきながらやっと離れたバカに、もう呆れて何も言う気にならず、黙って部屋に向かったら、壁にぶつかりながらついてきた。
「今日さぁ皆で飲んでてさぁ」
歩きながら、聞いてもいないのにヘラヘラと今日の飲み会のことを語り始め、喋ったまま終いには俺を追い抜いて俺の寝床に倒れこんだ。
「…退けよ」
「やーだー」
そして、一人でけらけらと楽しそうに笑う。いい加減腹が立って、アフロを思いきり引っ張った。そしたら、いたたたたマジ痛いから!と、やっとベッドから落ちて、俺を恨めしげに睨んだ。ざまあみろ。放っといて寝ようと思ったら、背後からいきなり腕が伸びてきて、俺の腰に巻き付いた。バランスを崩し後ろに倒れると、胡座をかいた奴の上にいた。
「捕まえたー!」
またぎゅうと抱きしめられる。耳にかかった息の熱さにぞわりとした。
「お前ほんと酒くさ…離せよ」
「んー…」
返事をしながらも、腕は全く緩まない。しかし相変わらず体温が高い奴だな、と思いながら寄り掛かった。もうどうにでもなれだ。
「デンジ…重い…」
「うるせー」
だんだん眠くなってきた。コイツもおとなしくなってきたし、きっとこのまま落ちる気がする。動けないなら仕方ないから俺もこのまま寝るしかない。俺は渋々目を閉じることにした。
220227