(ルビダイ)



最近これにはまってるんだ、とどこからともなくメイプルシロップを取り出し、用意したホットケーキに大量に搾る。
案の定べたべたになった指先。彼は丁寧に一本ずつ舐め取りにかかるが、その間にもう一方の指はべたべたのホットケーキを掴んでいるから、結局両方の手がべたべたなのだ。べたべたの指でべたべたのホットケーキを食べながら、「うわー、べたべたする」なんてのんきに口にする彼に、段々と苛立ちが募る。彼の指を伝ったシロップが、テーブルにゆっくり落ちた時、それは頂点に達した。僕は無言でシロップのチューブを掴み、自分のホットケーキに思いきり搾り出し、
「ダイゴさん」
そして、顔を上げた彼の口元に、そのべたべたのホットケーキを押し付けた。彼はぽかんとした様子で動きを止めた後、何するんだい、と困ったように眉を下げて、べたべたになった唇を舐めた。今彼にキスをしたらきっと甘いだろう、と考えて、馬鹿馬鹿しい思考を振り払うようにそこから目を反らした。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -