「これが今回の遠征の成果です。お納めください、城戸司令」

風間と城戸さんのやりとりをぼーっと見つつ私の存在意義について考えてみる。…必要なくね?
いつもなら遠征の報告は他の人に任せて早々に帰宅している私だが、しかし何故か今回は指名を受けて報告会議に出席させられていた。ほんと何故。私には遠征中に見れなかったジャンプとアニメを見るという非常に重要な使命があるんですけど、といくら訴えても城戸司令が呼んでるからの一転張り。
しかも、ジャンプは逃げたりしませんから、ね。とか一丁前にも私を諌めようとしたのかあの太刀川に言われていらつきはマックスである。少しの間くらい我慢しましょうよ、と笑ってきた高校生どもと太刀川には制裁を下したかったがトリオン体の痛覚をオフにしてるやつがほとんどなので今度生身の時覚悟しろよ、と宣言済みだ。特に髭は許さない。なんかこうプライド的に。

しかし私がぼーっとしている間にも会議は進む。当真の足長自慢をきぬたんが軽くあしらったところで、折角久しぶりに報告会議に出席しているのだから私も有意義な意見を言っとこうと話に割り込む。

「きぬたん」
「きぬたん呼ぶなっ!」
「遠征艇の壁に巨大スクリーンつけてよ。大きい画面でみたい」
「おおー、それいいな」
「胡桃さんナイスアイディア」

起きて暇そうにしてる人たちに持って行ってたJOJOや日常を見せたりしたけど、小型機は数に限りがあるからね。それに、やっぱり皆で一緒に見た方が楽しいし。
でもまさか太刀川と当真が援護射撃してくれるとは…。私のアニメ布教活動が本部でも順調に進みつつあるな。
図らずも1位の隊長と2位の隊員に味方してもらったお陰で、これ通るんじゃない?と謎の自信が溢れてきたが、援護射撃してくれた2人の顔を見ただけで私の想いとは全く異なる事がすぐに分かった。こいつら…AV流す気だ…!あの狭い遠征艇で!
一瞬煌めいた私の目が汚物を見る目に変わったのは仕方がない。

「…エロいのじゃなくて、アニメの為だからね当真、太刀川」
「とか言って持って行ったら流してくれるのが胡桃さんでしょ?」
「しかも胡桃さん結構マニアックなの選ぶよね」
「鈴木、当真、太刀川、そういう話は今するべきではない、場所を選べ。それに遠征は遊びではないぞ」
「そうだ、風間の言う通りだ!それに大きい画面にしたらそれだけトリオンの消費が激しい。今の小型機で我慢しろ」

おい、風間お前、日常見ながらはかせ可愛いなとかほざいてたやつの台詞かそれ!なんて流石に会議中に言えるはずもなく、へーい、なんて気の抜けた返事を3人で返した。

「…じゃあ言いたいことはもうないし帰るよ?」
「待て鈴木」

呼ばれた理由は聞けてないけど、この流れで自然に帰ろうと踵を返した私を止めたのはもちろん城戸司令である。…デスヨネー。用件聞いてもいないのに帰っちゃ駄目デスネヨー。

「鈴木を呼んだのは、これから鈴木以外に行って欲しい任務があるからだ」

ん?じゃあなんで私を呼んだし。
私以外の遠征組に目をやってもみんな疑問顔だ。

「現在玉狛支部にある。黒トリガーの確保だ」

え、迅ったら城戸さんに何したし。黒トリガーを取り上げようとするくらい城戸さん怒らせたって…私たちが遠征に行っていた数週間で本当に何が起きたし。あと、そのせいで私が呼ばれたとか…予定変更だ。私を笑った高校生ずと髭より先に実力派エリート(笑)に制裁を加えねば。

驚く遠征組に奈良坂が詳しく説明してくれた。
簡単にまとめると、黒トリガーを持った近界民が玉狛に入ったせいでパワーバランスが崩れたからそいつから黒トリガーとって来いやっ!である。
つまり迅は全く関係ないわけじゃないけど大元じゃなかった。すまん。ぼんち買って帰ろ。

「チャンスは毎日あるわけだねぇ。ならばしっかり作戦を練って……」
「いや、今夜にしましょう。今夜」
「今夜!?」
きぬたん驚きすぎだろ。

「……太刀川さん。いくらあんたでも相手を舐めないほうがいい」
「舐める?なんでだ?三輪」

普段はからきしな太刀川が三輪に意見してるってなんか凄いことだよね。私が三輪の立場なら黙れって言いながらグーパンしてるわ。

そしてなんだかんだで、太刀川が部隊を指揮する事が決定し、今から作戦会議が行われる流れになったけど、これ初めに城戸さんが私は参加しなくていいって言ってたよね?え、じゃあ本当に私は何の為に呼ばれたの?帰っていい?

「何帰ろうとしてるんですか、胡桃さん」
「え、報告会議も終わったしもういいでしょ。」
そういうとこれ見よがしにため息をつく奈良坂+上層部。

「この作戦を玉狛所属のお前に邪魔されては成功率が極端に下がる」
「え?城戸さんは私が見ず知らずの人の為に戦うとでも思ってんの?」
「だってその黒トリガーは胡桃さんと同じ玉狛所属になったんだぜ?」
「それに、もしその黒トリガーがお前好みの女でも同じことが言えるのか?」
「え!?女の子??!それを早く言ってよ風間!よろしい、ならば戦争だ」
「クリークって?」
「太刀川HELLSING読んだことないの?今度貸すわ」
「面白いんすか?」
「面白い。この前貸したドリフターズと作者同じ。風間も読んだよ」
「まじすか、じゃあ借りる」
「鈴木、太刀川。確かにHELLSINGは面白かったが、その話は後にしろ」
「それに胡桃さん。残念ながら黒トリガーは男です」
「なんだ。じゃあ私は邪魔しないと誓うから帰っていい?」
「いいわけあるかっ!もし林藤に命令されたらお前は逆らえんだろうが!!」
「つまり鈴木、黒トリガーを奪取するまでお前を解放するわけにはいかない」

「…え」

まさかの城戸さんの監禁宣言に驚いて茫然とする私を、無情にも誰も助けようとはしてくれなかった。逆に、まあしょうがないよな、みたいな顔をして作戦会議の為に部屋を出ていく仲間だった遠征組。

「どんまい胡桃さん」
「胡桃さんの為にも今夜奪ってくるよ」
「…ジャンプなら諏訪にでも頼んで今から持って来させる」

…ジャンプ読めるならとりあえずいいか。


2015/06/09
もうちょっとキャラクターでるまで我慢、と思っていたんですが我慢できなかったんです…。ワートリ面白い。葦原先生、玉狛の人たち全員のお披露目待ってます。
設定
・21歳組
・玉狛所属A級
・ぼっち鈴木隊でA級だったけどある人に誘われて玉狛に転属
・初期からずっといる設定も捨てがたいけど、途中から入ってぼっち快進撃でA級という設定も捨てがたいのでまだ特に決めてません
・玉狛には私生活用と漫画アニメゲーム等々用の部屋がある。後者は玉狛隊員の暇つぶしによく利用される
・落ちはたぶん玉狛に誘った人
・痛覚設定はオフってるから周りからMだと思われてる
・たぶんというか確実に最強。緊急脱出機能は便利だけど、それがあるせいでみんなあんまり"死"と隣り合わせ感ないからね!
・パーフェクトオールラウンダー
・念はトリオン体では使えない。しかしサイドエフェクトに円の強化版(本気出せば三門市を範囲内にできるほどの強化版)。Sの超感覚に分類される、はず
・原作知識は…ありでもなしでもいいかな。今回のは、なしですね

なにこれ楽しい。私が。
問題は誰を名前呼びするか。

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