「胡桃さん!半年経ちました!順位は真ん中より上をキープしてます!だから結婚してください!!」

まだ言うか…。週に1度、ジャンプ見本誌を見に来るついでに、エイジ君がジャンプに載せているCROW以外に描いた漫画を読んでいた手がとまる。
もう面倒だから首を縦に振ろうと考えたのは1度や2度ではない。
エイジ君はジャンプで何位に入ったらとか、高校のテストでいい点取ったらとか、色々と出す条件に対して、毎回華麗に条件以上の成果でもって報告してくる。
そろそろ条件考えるのが面倒だし、そもそもなんでこんなに躍起になって条件を出し続けていたのかすら忘れた。何してるんだろ。

「……私、いま好きな人が居るって言ったらどうする?」
次の条件ももう思いつかないし、そもそも疑問だったエイジ君は本当に私が好きなのか、という方から攻めることにした。ちなみに私が今好きな人について聞かれたら福田さんと答える予定だ。本当っぽいからであって本当に好きなわけではないけど。

「だれを愛そうがどんなに汚れようがかまわぬ。最後にこのエイジの横におればよい!!」

…まさか過ぎる切り返しに、恋が分からないとかいう問題じゃなく、彼の頭には漫画しかないのでは…という恐ろしい考えが浮上した。それはもう私の手にはおえねぇ…!
本当に、この人が何で私と結婚したいと言い続けるのか謎でしかない。だからって「私のこと、本当に好きなの?」とか聞いたり、高校生で弟分なエイジ君に恋についてとか語るのは恥ずかしいしどうしよう…と途方に暮れるしかできない。

「それともこっちです?」
「…こっち?」

私の心情など気づきもしないエイジ君に聞き返すと、どや顔と決めポーズから一転。真剣な顔で真っ直ぐと私の目を見ながら言ってきた。ふと、初めて漫画家になると言ってきた日と、あの時と同じ目だなと思った。

「新妻エイジは鈴木胡桃を愛しています。世界中の誰よりも。」

ドクン、と大きく胸が高鳴り彼から目が離せなくなった…。わ、私…!エイジ君のこと………なーんてそんな都合よく少女漫画的な展開にはならないし、私の胸はこの平和な世に生まれてからずっと一定だ。大体私、年上の方がいいし。

でもここで、自分の気持ちは分かってるはずなのに何故あの時のように即決して返事ができないのか…。その理由を考えて一瞬変な方にそれてしまった思考を連れ戻し、ここで拒否して今までの居心地の良い関係を壊したくないからともやもやするが一応の収まりをつける。自分の感情が迷子なんて久しぶりだからもやもやするんだ!きっとそう。

「そもそもエイジ君の年じゃまだ結婚できないよ」
「…え、本当デス?」
「本当DEATHよ」

さて、エイジ君が18歳になってしまったら今度は何といって延期させようか。

2015/02/21
設定
・エイジの4歳上
・東京の大学に進学
・今後の展開は、岩瀬さんの存在にもやもやしてやっぱり恋なのかなとか考えたり考えなかったり。

どうでも良い設定ですが、迷子主は小・中・高と様々なコンテスト等で図書カードや現金をゲットして漫画を買い集めます。読書感想文とか。

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