わくわくと父さんのリアクションに注目する私と集中して父さんを見ているイルを尻目に、父さんは皿の横に置いてあったナイフで自分の親指を豪快に斬り、皿の上に指から滴る血を擦り付けた。そして指の血を拭ってから皿の上に手をかざす。すると皿と、皿の上の血はみるみる紫色に変化していった。…って、なんだこれすげえええ!
まさかゾルディックにこんな不思議道具があったとは!!
ただ!惜しむらくは、父さんが呪文を唱えなかった事だよね!もし呪文唱えてたら興奮で叫びだすとこだったわ!

皿の上の、紫という気持ち悪い色になった血を拭いながら次はお前の番だ、とでも言うように父さんはイルを見た。

…え、ちょ、待て待てえぃ!詳しい説明プリーズ!色の変化で系統が分かるって事?え、先に何色がどの系統かくらい教えてくれてもよくない?なんだこのゾルディック心理テスト!

同じく困惑の気持ちを抱えているだろうイルと気持ちを分かち合おうと顔を横に向ければ、キラキラした目をいつの間にか元の透き通った綺麗な色に戻った皿に向けるイル。
え、実はイル心理テストとか好きなの?女子か。でもそういうの可愛いと思います。占いを信じたりとか。あ、でも緑間くんは行き過ぎだと思うのだよ。

そして、本当に珍しく私の視線に気付かなかったイルは、キラキラした目のまま皿の前に行き、父さんと同じ手順を行った。皿と皿の上の血の色は父さんとは違い緑色に変化する。
「…操作系か」
なるほど、やっぱり色の変化によって判断してるのか。

「クルミ」
イルは他の変化も見たいのか、私を引っ張って皿の前まで連れてきた。
ここまで興奮してるイルを見るのは初めてだなあ。今こそ撮影すべきだってのに…本当にハサムは役に立たないな。

いきなりイルに連れられたからまだ心の準備が出来てなかったので、取り合えずハサムを罵る事で落ち着こうと試みたけど、イルだけでなく父さんにも視線で急かされたので慌てて私も全く同じ手順を行う。

皿に血を擦り付け、練をしながら無駄かもしれないけど考える。
やっぱりデスノートは具現化系かなぁ。あ、でも特質系でも大丈夫かな。で、今のところ操作系が緑だって分かってるから緑以外なら可能性あり、と…。うん、情報少なすぎワロタ。
つまり、無駄無駄無駄ア!って事ですね。心理テストだと思って気楽にいこう。でも緑以外がいいな。

なんて考えつつイルが熱心に見守る中、皿は段々と色を変え、父さんともイルとも違う、まるで私達の髪のような真っ黒へと変化していった。
私はやっぱり気になる結果を知るため、父さんを勢いよく仰ぎ見る。
と、その時

ボンッ!!!

そう、例えるなら忍者が逃げる時に使う煙だまのようにいきなり目の前で爆発が起きて、煙が視界を奪った。

えっ!色の変化以外にもバリエーションがあったの?!
爆発って強化系っぽくない?え、デスノート計画終了のお知らせかっ?!
てか、煙って意外と消えねぇ!まあこの程度で噎せたりするクルミ=ゾルディックではないがな。あ、何か今の言い方格好いいな。

大人しく煙が晴れるのを待つ事およそ1分。
視界が良好になり多分爆発の原因だと思われる目の前の皿に視線を向けると、何故か元の透明な色に戻った皿の上には血ではなくてオレンジ色の不思議な…多分果物が。

…なんだこれ。

いや、
これが何か、私は知っている。

こんな、果皮に唐草模様がついている特徴的な果物、一度見たら忘れられるはずがない。

これ…もしかしなくても、

「海の悪魔の化身」とも呼ばれる、

食べたら一生カナヅチになる、

くそ不味い不思議な果実、


通称"悪魔の実"じゃまいか…!


2015/01/11
無理矢理分割の後編。

水見式は心源流に伝わる選別法なので、ゾル家に伝わる選別法を厨二全開で考えてみました。詳細は…

透き通っていて高級感溢れるあの皿の上に血を垂らす。その上で練。その後の皿の色の変化によって系統が分かる。赤(強化系)・青(具現化系)・緑(操作系)・黄(放出系)・紫(変化系)・黒(特質系)。皿は血を洗い流せば何度でも再利用可能。ちなみにこの皿はゾル家のご先祖様が作ったもので、ゾル家のものにしか反応しない。つまり血が鍵。

血ってゾル家っぽいよね、という安直なイメージから。

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