青い空、青い海と白い砂浜のコントラス。
そして体育座りをして海を眺める赤いチャイナ服を着た幼女が1人。

…どこだここ。

後ろは森。半径1km以内に人間の気配が全くないのも円で確認済み。

まじなんだこれ。
目が覚めたら野外。しかも幼くなってるとか。

…いや、もう分かってますよ。またどっかトリップしたんでしょ?
なんだよ、神は私に何を求めてるんだよ。しかも今回はいきなりこんな所に居るって事は、家族とかが居ないから衣食住の確保から始めなきゃならないって事ですねまじつらい。せめてこの世界が争いのない平和で穏やかな世界でありますように…。なんてどこのマリナ・イスマイール。自分の為とはいえ世界の平和を祈るとか、私疲れてるな。うん、そんな事よりこの世界に漫画やパソコンがある事を祈るべきだね。…じゃなくて、現実的に今後の暮らしについて考えないと。
どうしよう…ん?そういえば、多分だけど家族が、いない…?
え、つまりは気にしなきゃならない家族も、周りの目もないって事…?

じゃっじゃあ、昔からなりたかったあの職業にもなれるって事…?…そう、自宅警備員という名の憧れのニートに…!なにそれ素敵。
はっはーん!神も流石に私に与えまくるハードな試練に申し訳なくなって休息をくれたんですね…!
ありがとう神さま!でもできるなら束の間の休息じゃなくて永遠の休息が欲しいです。

取り合えず将来の夢が決まった私は、この決意を忘れないように砂の上に無意識に書いていた沢山の"の"の字を消して、新しく"素晴らしきニート生活の為に〜"と書き今後の予定を記していく。先ずは…資金か。これはもう汚い手を使ったらすぐ貯まるでしょ。…こんなゲスな考えを当たり前だと思ってる人間が、世界の平和とかよく言えたな。

と微粒子レベルだけ反省していたその時、後方の森からこっちに向かってくる何かの気配を感じた。

反射的に構えを取り円を展開する。
動物、早さや大きさ的に虎とかライオンかな。よし、とりあえず向かってきてるあの動物をこの世界に来てからの初めての食事にしよう。
そして食べながら今後の素晴らしいニート生活の為の計画を綿密に立てていこう。そうしよう。

構える事数秒。
匂いなどしないはずなのに何故か私の所に一直線に向かってくるライオン(仮)。

そしてガサガサと木々をかき分ける音の後に目の前の木から姿を表した。

そして、私の目に飛び込んできた、赤。

別に珍しい色でもない。暗殺業をやっていた私としては寧ろ見慣れている色でもある。

それなのにどうしてだか、透き通っていてきらめいている海の青や、美しい砂の白や、鮮やかな空の青なんかよりもずっとずっと綺麗に感じて、何故だかとても、惹き付けられた。


2015/01/20
→マギ2に続く

← contents 

top