もの凄い無茶ぶりのように感じた父さんの伝言だが、実際に訓練をし始めてすぐに全然無茶ぶりじゃなかった事に気づいた。イルは絶も練もあっさりとできるようになったし、イルよりも気配を消す事が得意な私は、絶に関してはイルよりも先にできるようになったくらいだ。
まじゾルディックオリティぱない。

それに念の訓練は楽しい。やっぱり人殺しの技を磨くより、こういう必殺技みたいなものを自分のものにしていく方が楽しいよね。…まあ、この力も結局は人殺しの為に使われるんだろうけど。…って、デスノート作りたいとか言ってたやつが今更なにいい人ぶってるんだって感じですね。だまります。

と、練と絶を習得し、更に極める為にツボネや母さんに指導してもらったり、ゴトーにアドバイスをもらったり(ハサムはしばらく無視)、イルと2人で確認し合ったりと訓練開始から1週間。

また父さんの私室に呼び出された私達は、今回は入っては駄目だと言われたらしく扉の前でゴトーとハサムに泣き縋られながら見送られ、まるでラスボスの部屋並に雰囲気があり開けにくい(物理的にも何トンかある)父さんの部屋の扉を開けた。

扉を開けて中を覗くと待ち構えていた父さんとその前の机の上には透き通っていて綺麗な高級感溢れるガラスの皿。…かき氷食べたくなってきたなあ。

父さんは私とイルを交互に見て納得したように頷いた。
「1週間前と比べて淀みない綺麗な纏だ。絶も練も大分上達したと聞いたぞ。良くやった」
おお!お褒めの言葉!やっぱり他の人に褒められるのとは嬉しさが違うなあ。

そして、父さんの目の前に置いてある皿に私達の視線を誘導し続ける。
「ではさっそくこれを使ってお前達の系統を調べる。系統については事前にツボネが説明しているな。まず手本を見せるから見とけ」

え?水見式は?
確か、グラスと葉っぱが必要なんじゃなかったっけ?
でも何度見ても目の前には高級感溢れる皿のみ。
父さん葉っぱ忘れたのかな?
26歳、実はどじっ子☆とか誰が喜ぶんだよ。…いや、ありか?そういうギャップで母さんをメロメロにしたのか…?
あっ何か段々父さんがすっごく可愛く見えてきた。
葉っぱを忘れたと気づいた父さんがどんな可愛いリアクションを取るか、この時の私はこんな事ばかりを考えていた。

2015/01/11
無理矢理分割前編。
後編に続く→

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