「昨日話し合った結果、お前達の初仕事は5歳になったら行う事に決まった」

すくすくと暗殺者街道まっしぐらに生きてきて4年と数日経ったある日。
いつものように訓練かと思いきやゴトーから父に呼ばれていると伝えられ、父の私室にイル達と向かった。そして私達が到着してすぐに待ち構えていた父は言った。

まじゾルディックないわー。
これが上記の言葉を受けての感想である。いや話し合ったってゾルディック家は合議制なの?とか気になる事もあるけども!
私は主張したい…!日本なら5歳は小学生ですらないんだぜ、と。
あ…でも確か、イチャパラ大好きカカシ先生も5歳で忍者始めてた気が…。って事はゾル家は木の葉と一緒って事?…なんか、初めてゾル家に親しみが持てそうだってばよ…!
それに仕事しだしたら給料貰えるのかな?…つまり……漫画が、買える…!な、何から買おう…!そもそも給料っていくらぐらいなんだろ?

なんて、ちょっと早く仕事したくなってきた私の隣の短髪キュートなイルをチラッと見てみると少し嬉しそう。
多分、仕事を遂行できるほどの実力があるって家族に認められた事が嬉しいんだろうな。
いつもイケメンなのにこういう時可愛いとか…ギャップ萌えを狙ってるの?!恐ろしい4歳時だぜぇ。

後ろに視線をやると、見る前からもうなんとなく分かっていたけど、予想通り涙を流しながら手を合わせて喜んでいるゴトーとハサムが居た。ここでハンカチとか渡すと更に泣くと経験上分かっているので放置一択。
…でも、私もゴトーとハイタッチしたいから後でしよう。ハサムはいいです。

父さんは私達の嬉しいという感情が珍しく分かったのか、微笑ましそうな目を私達に向けながら更に爆弾を落とした。
「それと万が一の事を考えて、初仕事の前に念能力を修得させるという事も決まった」

…………!?
ね、念能力…だ、と…!?
…ききき、キタコレー!!ハンターと言えば念能力だよねっ!!!うわー、いつかは教わるだろうなあって思ってたけど!凄い嬉しいし楽しみなんだけど!!
私、『デスノート』みたいな能力欲しいんですよね!暗殺者っぽくない?…あ、いや決して暗殺しにターゲットのところに行くのがだるいとかじゃなくて、ですね。いや、本当だよ!

さっきみたいにイルも喜んでいるんだろうなあってイルに視線を向けると予想に反してイルは困惑ぎみ。ん?と一瞬不思議に思うけど、すぐにそうか、と納得。
念って普通は知らないんだよね。あ、いや、ゾル家は普通じゃないけど。

「念能力ってなに?」
案の定、念能力を知らなかったらしいイルは首を傾けながら尋ねた。効果音をつけるならコテンサラである。…なんか言語としてありそう。サランヘヨの類似語的な。てかイルのきょとんとした顔まじ可愛い。

「念能力は、体から溢れ出す生命エネルギーである『オーラ』を自在に使いこなす力のことで、一般人には秘匿になっているからお前達が知らないのは当然だ」
あっ、流石に念能力の説明はしてくれるのか。
いつも習うより慣れろ、な教育方針のゾル家だから、今回もいきなり精孔開かれるのかと思って身構えちまったぜ。ふう。

「そのオーラの溢れ出す穴である『精孔』を開くには、通常2つの方法がある。…だが、実は今まで何度も訓練時に興奮したキキョウの微量のオーラをぶつけられて、お前達の精孔は開きかけている。」

おい母さん、何してくれやがってますの?

「…そうだな。今から瞑想を訓練に取り入れていけば、遅くても1週間以内には開くぐらいか」

お母様ありがとう!素敵!!
お母様のおかげで安全安心なゆっくりコースに突入じゃあ!

「だがまあ、今までも微量とはいえキキョウの念に動じてなかったお前達だ。1週間といわず今ここで開いてしまうか」

!?え…ちょっ

「オーラをぶつけた後は集中して俺の指示を聞け。出来なければ死ぬぞ」
そう言いながらイルと私に片手ずつ向ける父と、ちょっと緊張してる姿も可愛いイルと、それから私。みんな違ってみんないい。…じゃなくて!

え、死ぬかもしれないの?ま、まじで!?

おい!ハサム!!今、私を助けないでいつ働くよ!!?
助けを求める為に首だけで振り替えった先で、私の視線に気づいたハサムは涙の後が残る顔を破顔して、親指を上に向けそれ以外の指を握り混んだ右手をつきだしてきた。
違うわっ!

「いくぞ、イルミ、クルミ」

M(まじで)S(死ぬ予感しかない)5(秒前)


2014/12/05

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