「まあまあ、この服も素敵ねぇ。着物もドレスも似合うなんて迷っちゃうわ!クルミちゃん、次はこれよ」
母さんからまた新たな服を与えられて、それに着替える。

もうさっきからエンドレスだよ。
そのクローゼットには一体何着服が入ってるの?四次元クローゼットなの?まさか…!ゾルディック家はあの猫型ロボットを開発していたというの…?!

「あらそれは微妙ね。やっぱりこっちを着てちょうだい」
「…うん」

なんでも母さんは妊娠が分かった瞬間に女の子が生まれてくるに違いないと思い、それから毎日のように女の子の服を大量に買っていったとか。
あれっ、原作では女の子居たっけ…?
まあそれを聞いて、母さんが女の子である私の誕生を喜んでいるのを知り、ちょっとは付き合ってあげようと思って今に至る。

でも流石に着せ替え人形と化して1時間経過した頃にはとてつもない後悔が。
2時間経過した頃には、勇気を出して遠回しに疲れた事をアピールしたら椅子が。
3時間経過した頃には『お腹空いたでしょう?』と晩ごはん(毒入り)が。

そろそろ母さんも飽きるだろうと思って更に1時間。母さんは更にイキイキしだして、終いには私とお揃いの服を探して自分のお着替えも始めやがりました。

これは、私が女子力無さすぎるのがいけないの…?!
こんなのってないよ!あんまりだよ…!
なんて逆に私が悪いような気がしてきた5時間経過の今。

母さんは暗殺者としての身体育成プログラム略して暗身プログラム(ry)の時に、ちょっとでも逆らうともの凄く面倒(痛みを伴う)になるって事を学んでるから、「疲れたからもう部屋に帰らせて」の一言が言えない。
言って母さんを怒らせたらと考えるだけで………!(び、ビビってるんじゃないよ!面倒って思ってるだけだよ!本当だよ!)
でも流石にもうゴートゥベッドしたい。イルミに会いたい。

経過2時間の時の私よ帰ってこい!頑張れクルミ!

「…母さん、もう眠いんだけど。部屋に戻ってもいい?」
い、言えたーー!!よく頑張った!でもやっぱり控え目にしかアピールできない私。へいへいへーい、いつからこんなにヘタレなっちまったんだ…!

「あらあらあら、もうこんな時間なのね。明日の訓練に支障が出たら困るもの。部屋に帰っていいわよ」

良かった助かった…。
明日からはずっとイルミの隣で本を読んどこう!飽きても頑張ろう!それが一番しあわs「明日も訓練が終わったらまた服を沢山着ましょうね!そうだわ!明日はカメラマンを手配しましょう!あ、じゃあついでにスタイリストも!!早速執事に伝えに行かなきゃ!!」

母さんはナイスアイディア!みたいな顔をするなりすぐに部屋を飛び出して行きました…。

誰か助けろ下さい。





「それにしてもクルミちゃんはイルと同じで表情が変わらないから、分からないわ…。でも感情を読み取らせない事は暗殺者としては大切な事よね!さすが私の子達!」


2014/09/25
少しずつ少しずつ、気づかぬ内にゾルディックに染まっていきます。慣れって恐い。

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