「ねぇ、もうオレ1人で立てるし歩けるから抱っこしなくていいよ」
生まれて半年。
初めて兄の声を聞いたと思ったら、兄は喃語も一語文もすっ飛ばしていきなり普通に喋りました。
そして執事の抱擁を避けて、1人でベビーカーから降りて、立ち上がりました。
え…。
え…。
えええええええええええええええ!!
ちょ、おま、いきなりいいいい?!!
「クルミも、何してるの。行くよ」
「え、あ、うん」
え、何でそんな「お前もできるだろ」みたいな目でこっちを見るの。
私、今まで幼児語で喋ってたし立った事はおろか、はいはいだってまだなんだけど。
無理だろ、流石のゾルディックオリティをもってしても立てないだろ、って半信半疑ながら立とうと足に力を入れたら立てました。
クルミが…!クルミが立った…!!
そして、ベビーカーから降りる為に端に移動。
クルミが…!クルミが歩いた…!!
最後にベビーカーの端を持ってジャンプ。
クルミが…!クルミがジャンプしたよ…!!
綺麗に着地した後、あまりの感動に呆然としていると、近くからすすり泣く声が。
「い、イルミ坊っちゃま…クルミお嬢様…立派に、成長されましたねっ…。わ、私感動してしまって…うっ」
ゴトーさんがどこからか取り出したビデオで私とイルミを撮りながら、涙ながらに話し出した。
ハサムは酷く興奮した様子で、どこかに電話をかけている。
多分父や母に報告しているのだろう。
自分より慌ててたり、興奮してる人を見ると落ち着くのは私だけ?
2人の執事があわあわとしているので、私はどうしたらいいのやらと思っていたら、目の前にいきなり右手が。
「ん」
その手を遡っていくと、いつもながらの無表情のイルミ。え、いつの間に。てか何この手。どうすればいいの?
「行くよ」
そのまま左手を握られて、扉に向かって歩き出した。
自分、お兄ちゃんっ子になります!クルミ生後半年の事でした。
2014/09/22
ちなみに、通常の生後半年は自分で座れるようになるくらいです。ゾルディックぱねぇっす。
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