「ほらほら!クルミちゃん。イルミちゃんは全然泣いてないわよ!あなたも頑張って!!」

いや無理だから。
そもそも人は生きてるうちに電流なんか喰らう可能性も必要性もないからね?
まじサトシリスペクト。
なんて、産まれて数日の私が喋れるわけなく、辛さを伝える為にただ泣きわめく。

ゾルディック家は半端ない。
産まれた次の日から訓練がスタート。今されてる電流。火。毒。水。その他ちょっと赤ちゃんに何してんの?って事を平気でするからね。まじ酷ぇ。
ただ、多分ゾルディックオリティのお陰で、ある程度まで耐えられるっていう。遺伝子ぱねぇ。

このままだと私、ポケモンマスターまっしぐらだよ…!だって例えじゃなくてガチで、雲の中以外の火水草森土ついでに毒と雷の中くらい余裕に行けるようになっちゃうよ?!あのコのスカートの中とかは……これだけは行ける様になったら何かが失われるね。

とか訓練中に考えられるくらい「これが訓練?はっ!くすぐられてるのかと思ってたぜ」って余裕ぶっこいてたら

「あらあらあら!イルミちゃんもクルミちゃんも優秀ねぇ。もう少し厳しくしても大丈夫かしら?!」
「ああ、そうするか」

なんて美男美女なまいまざーとまいふぁざーが仰りやがりまして、訓練がLvアップ☆

はい、アウト!

さっきも言ったけど、ある程度なら耐えられるけど、これは死ぬ。
そんなんだからキルアに嫌われるんだよこのヒステリックばばあ!あ、でも今は物凄い美女だから、ヒステリック美女!ってこれあんまり悪口になってないぞ…。
でも何故か私の隣のイルミはぴくりとも動きません。え、死んでるんじゃないの?って何回顔を覗いた事か。
これが…才能か…!

訓練以外でもイルミは泣かない。ここの執事さんは優秀すぎて私やイルミが泣いて何かを要求する前にしてくれるから、イルミが泣いた所を見たことが本当に1回もない。
あ、私は嫌な事があったら、適度に泣きます。え、羞恥心はないのかって?…クルミあかちゃんだから、しゅーちしんとかわかんなーい。………だって、赤ちゃんだもん!前世の事考えたら恥ずか死ぬレベルだけど、開き直って考えたら皆私の前世とか知らないし?だから恥ずかしくなんて、恥ずかしくなんて………本当は開き直っても恥ずかしいです。
でも!あのイルミが泣いたら、羞恥心がなくなる気がするから最近はイルミ泣かないかなって訓練中にチラチラ見てます。
兄が泣くのを待つ妹。…あれ、今の状態を言葉で表すと、私、最低な妹じゃね?

そんな日々(って言っても産まれて数日だけどね!)の中、私の癒しはゴトーさんです。ゴトーさんが笑顔で「お疲れ様です」って言いながら手当てしてくれる時とか鼻に手を当てて鼻血出てないか確認するレベルの破壊力。ゴトーさんの笑顔やべぇ。

でも、最大の癒しというか、私がこんな環境で狂ってないのは実はイルミのお陰だったり。
私が辛すぎる訓練にもう耐えられないって思った時とかに、隣で同じ訓練を受けてるイルミが手をぎゅっと握ってくる。笑ってくれたり、声をかけてくれたり、見つめてきたりはしないで、手を握るだけ。
でも単純な私はこれだけで1人じゃないんだ、って頑張れる。
双子パワーなのかな?イルミ取り扱い説明書(筆者:クルミ)に『双子テレパシーあり』って項目を追加しとこう。
イルミのお陰で明日も私は生きていけそう。
だからイルミが泣いた時は、私が手を握ってあげるよ。


2014/09/20
ハサムさんもきっと頑張ってるよ…!

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