2
俺が高1になったばかりの頃。
同じクラスだった英太のことなんか微塵も興味がなかった。
それなりに話すことはあったのだけれど、友達というまでではなかった。
だけど、席替えで近くの席になって。
英太という人物がわかり始めた。
人懐っこくて、少し抜けてて、かわいい。
「キサキってとっつきにくいイメージがあったんだよな〜。すっげぇイケメンだし。」
でも、キサキめちゃくちゃ面白い!
そう笑った英太が可愛くて。
何故だか頬が熱くなった。
それからはどんどん英太に惹かれていった。
英太はわんこみたいでかわいい。
ずーっとぎゅうってしてたい感じ。
俺、英太にも俺のことを好きになって欲しくて、少しずつ英太に近付いていった。
さり気ないフォローと、心地よい距離感に気をつけた。
俺無しではいられなくなるように。
英太が友達と喧嘩した日は相談に乗った。
引きはがしたいのはやまやまだったが、英太は友達を否定するような意見が嫌いだ。
だから、関係修復に一役買った。
そんなことを続けて一年半。
英太は見事に俺を信頼してくれた。好きになってくれた。だけど、それは友達としてでしかなかった。
どこで間違ったんだ。
英太は昔と変わらず、純真だった。
俺のものには、なってくれなかった。
俺だけのものに、なって欲しかったのに。
無理にでもそうすればいいのかもしれない。
でも、英太に軽蔑されてしまうかもしれない。そう思うと行動に移せなかった。
今の関係に甘んじることにしてしまったのだ。
英太。英太。英太。
英太。
何も知らずに俺のことを好きだと言って笑う英太の横顔が恨めしくて、眩しくて。
一人、その写真に口づけをした。
<終>
次ページからは続編となります。
[ 9/26 ][*prev] [next#]
[しおりを挟む]
back