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お金を財布に突っ込んで、身支度を整えてホテルの外へ。
料金を支払って、ぎらぎらと光る、悪趣味な街の中へ、家を目指して歩いていく。
この街は、ぎらぎらとごてごての街だなぁ、とぼくは思っていた。
夜のネオンと飲み屋街、いかがわしいお店でできている。
時刻はまだ七時を過ぎた頃。
今日も相変わらず空気は重たい。
くぁ、とあくびをしてファーストフード店に逃げ込む。
油っぽい匂いが鼻をつくが、外のベタベタした、汚い空気よりはましだ。
ぎゃはぎゃはとうるさいギャル風のメイクの濃い女。目に毛虫を乗っけている。
いつものメニューを頼んでかぶりつく。
慣れきったなんともない、ありふれた味。
メールを送りながら、機械のように咀嚼する。
そういえば、生きることは殺すことだって言葉、前に聞いたなぁ。
生きるために他の生物を食料として殺す。
生きるために個性を殺す。
食事というより、決められた行為をしているように物を食べるぼくは、誰かの糧になった方がいいんじゃないか。
なーんて、くだらない思考をして。
やっとメールが来たことを通知する光が灯る。
差出人:空
件名:柊へ。
本文:いつものとこだろ?すぐ行く。
空、来るんだ。
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