Short novel | ナノ


requited love  




 あれから数日後。アレゼルは闇の森のエルフ全員の前でスランドゥイルの妃になることが発表された。異議がある者はいなかった。少なくともアレゼルを知るエルフは彼女に良い印象を持っていたし、王と近習が想い合っていることは本人達が知らないだけで衆知の事実だったし、それを認めていた。
 アレゼルは近習を辞め、近衛隊隊長として引き続きスランドゥイルに仕えることになった。勿論王妃としての教養をある程度身に付けて、子が出来ればその子が充分育つまで他の者に仕事を任せるという条件付きで。

「まさか許してくれるとはね」
「活発なそなたを岩屋の中に繋いだままにしておくなど、その方が無理な話だからな」
「そうね」

 葡萄酒が杯に注がれていく。二人でそれを飲み干し、スランドゥイルは自分の腕の中にいるアレゼルを愛おしげに見つめた。これからは今まで以上に一緒にいられる。

「アレゼル」
「何?」
「Gi Melin.(愛している)」

 アレゼルは微笑むと、スランドゥイルにそっと口づけ小さな声で「私もよ」と囁いた。
 愛しいエルフの腹に小さな命が芽吹き、生まれてくるまでどれぐらい時間があるのかまだ分からない。だがそれが男児であれ女児であれ、精一杯愛しアレゼルと共に幸せな家族を気づいていこう。そう思いながら、スランドゥイルはアレゼルの唇を塞いだ。


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