「レゴラ・・・・・・王子!お待ちください!」
「何かなアレゼル」
ようやく足を止めたレゴラスに追いつき、手を取るとアレゼルは近くの部屋に連れ込んだ。
「王に私に暇を出すように言ったの、レゴラスよね?」
「うん。たまには闇の森から出るのも良いと思って」
「もしかして私がドルイニオンに里帰りしたがってたのも知ってたの?」
「今日の昼、アレゼルが庭で物憂気な顔をしてたからもしかしたら」
見られていたのか、とアレゼルが軽く驚いているとレゴラスはアレゼルを近くの椅子に座らせた。
「っていうのは半分嘘で、前からアレゼルが帰りたがっていたのは知ってたんだ。でも帰っちゃったら戻ってこないんじゃないかとか思ってて、父に暇を出すように頼むのをためらってた」
「私ちゃんと森に戻ってくるわよ?」
「うん。でもちょっと不安だった」
ごめんね、と言いながら抱きしめてくるレゴラスの頬にアレゼルはキスをした。まさかレゴラスがそんなことを考えていたなんて知らなかった。知らず知らずの内に不安にさせていたのかと考えていると、レゴラスが少し体を離してアレゼルを見つめる。
「帰る時は迎えに行くから知らせてね」
「来るの!?」
「勿論。アレゼルのご両親にも会っておきたいし」
「は、早くない?」
「早くないさ。ゆくゆくは結婚するんだし」
結婚。その二文字にアレゼルが頬を赤く染めていると、視界が反転して目の前に映るのはレゴラスと天井のみとなった。押し倒されているのだと気づき、これから何をされるのか予想がついたアレゼルの耳元でレゴラスが甘く囁く。
「ドルイニオンで変な虫が寄ってこないように、しっかり印付けてあげる」
「レゴラ……ッん」
唇を塞がれ、ほんの少しだけ開いた口から舌を入れられる。キスは何度もしていても、舌を入れられるのは滅多にない。以前抱かれた時に何故そうするのか聞いたところ、こっちの方が燃え上がるからだと言われた。ならば自分もと、アレゼルも舌を絡める。先程まで酒を飲んでいたせいか、いつもより身体が快楽に反応しやすくなっていてアレゼルが時折艶っぽい声を出すと、レゴラスは更に深く口づけてきた。
ぴちゃ、ぴちゃ、と周囲に水音が漏れる。そろそろお互いの息が上がってきて離すと銀色の糸が頬を伝う。少し暗くて分からないが、レゴラスは自分を見つめるアレゼルの瞳が何を訴えているのかだけは理解した。ここではいつ邪魔が入るか分からない。酔い潰れたふりをさせてアレゼルを抱き上げ、レゴラスは自室へ向かった。
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