Never Change | ナノ




 ガンダルフを先頭に道を進んでいくと、今まで進んできた場所とは比べ物にならないほど広い空間に出た。

「危険じゃが、ここから先は明かりを付けよう」

 杖の先が辺りを照らし、視界に現れた風景にギムリが思わず感嘆の息を漏らす。削り出されて模様をつけられた何本もの巨大な柱が天井を支え、ずっと先まで続いている。壁がどこにあるのかも分からないほど広い広間が広がっていた。

「ここは第二十一広間と呼ばれる場所じゃ。もう少し行けば外の光を入れるための採光筒がある。今日のところはそこの近くで休憩しよう」
「オークたちに見つからない?」
「おそらくな」

 死角は少ないが、どこから敵が現れるか分からないのは変わらないため気を引き締めながら黙々と一行が進んでいると、右手奥の部屋からかすかな光が漏れていることに気がついたギムリはその部屋へ一目散に走っていった。何事かと皆が着いていくと、部屋には武装したドワーフの亡骸と大きな棺があった。棺の前で泣き崩れているギムリ。

「モリアの領主、フンディンの息子バーリン・・・・・・。死んでおったか」

 涙を流し続けるギムリを慰めるようにレゴラスが肩に手を置く。棺の中に眠るドワーフとは親しい仲だったのだろう。ここが廃墟になっていると気づいてからの彼の様子は不安そのものだった。
 ピピンに帽子と杖を預け、ガンダルフは棺に寄りかかっている亡骸が持っている厚い本を手に取っりぱらぱらとめくる。見覚えのある字。あるページにたどり着くとゆっくり文を読み上げる。

「''門は閉じたが、長くは持つまい。大地が震える。地の底から太鼓の音が鳴り響く。外に出ることはできない。闇の中で影が動き、・・・・・・奴らが来る ''」

 その時、大きな音が背後から聞こえた。振り返ると井戸の上にあった亡骸が派手な音を立てながら底に落ちていくところで、ピピンの しまった という表情から察するに彼が亡骸を弄り落としてしまったようだ。しかも亡骸には大きな重しがついていたのか、それも後から落ちていく。

「この大馬鹿者めが!!!!次はお前さんが井戸の底に落ちるがよい!!!!」
「ご、ごめんなさい・・・・・・」

 帽子と杖を奪うように取り、部屋を出ようと皆に言おうとした瞬間、井戸の底から大きな太鼓を叩いたような音が聞こえた。太鼓の音はどんどん大きくなっていき、坑道全体に響き始める。

「フロド様、剣が!!」

 ハッとしてフロドが剣に目を移すと刀剣が青く光っている。オークが側にいると警告しているのだ。いち早くボロミアが扉を閉めに走ると、二本の矢が目の前に刺さる。間一髪刺さらずにすんだが、あと一歩前にいたら確実に頭を貫かれていただろう。扉を閉め落ちている武器を閂代わりにし、皆戦闘の用意に入った。
 それから数分もしないうちに扉の向こうからオークが迫る音がし始める。レゴラスとアラゴルンは弓を構え、ガンダルフ、ボロミア、エレンミアはそれぞれ剣と刀を構えた。ホビット達もそれぞれ震えながらも剣を構える。

「来るなら来いオーク共!!!!ドワーフはまだここに一人残ってるぞ!!」

 扉が壊され始める。斧で扉に小さな穴が作られると、レゴラスがその穴めがけて矢を放つ。オークが痛みに叫び、続けて矢を放とうとした瞬間バリバリッと派手な音を立てながら扉がついに破られた。なだれ込んでくるオーク。アラゴルンとレゴラスが的確に急所を射っていくが、オークの数が多くなると弓矢を剣に変えて戦い始めた。
 狭い部屋はすぐにオークでいっぱいになり、混戦状態となっていく。ホビット達も慣れないなりに一笑懸命剣を振るい、サムにいたっては持っていたフライパンまでもを武器にして戦っていた。エレンミアも二刀の刀で次々とオークを倒す。
 数ではこちらが負けているが、幸いここにやってきたオークはあまり強くないため徐々に減っていき、これなら大丈夫そうだとエレンミアが思っていると、大きな唸りと共にトロルがオークに鎖で引かれながら部屋へ入ってきた。トロルは部屋に入るなり手に持っている棍棒を振り回して暴れ始める。レゴラスが二本まとめて矢を放つと痛みに泣き声をあげたがすぐに棍棒で反撃をした。
 鎖を握っていたオークは既に死んでいるためトロルは敵味方関係なく視界に入る生き物を殺そうとする。石をぶつけていたメリーとピピンに狙いが行くと、アラゴルンとボロミアは後ろから鎖を引っ張り意識を逸らさせようとしたが抵抗したトロルが棍棒を振るいボロミアは壁に叩きつけられた。

「ボロミア!!」

 打ち所が良かったのか、ボロミアはすぐに起き上がる。そこを一匹のオークが襲ったがアラゴルンが短剣を投げて殺した。それにボロミアがやや驚いたような反応を見せたがすぐに立ち上がり戦闘に戻った。


 


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