2月22日
僕と琉奈ちゃんの生まれた日。
この日の朝日奈家は、いつもよりちょっとだけ、特別。みんなが、僕たちに「おめでとう」の一言をくれる。
琉奈ちゃんも、僕に。僕からも、琉奈ちゃんに「おめでとう」と、「ありがとう」を言う。生まれてきてくれて……一緒にいてくれてありがとう、って意味をいっぱいに込めて。
それと一緒に琉奈ちゃんとお互いにプレゼントを交換して、その時も、「ありがとう」って言う。
まるで、今日は「ありがとうの日」みたいだね。
そう言ったら琉奈ちゃんは、僕に似た顔をして、「本当だね」って言って、笑う。
プレゼントを渡し終わったら、右京兄さんに作ってもらったチョコレートクリームのケーキを一緒に食べる。大好きなチョコレートをふんだんに使ったケーキを目にした時の琉奈ちゃんの目は、とてもキラキラしてる。
まるで、王子様に出会って、恋に落ちたお姫様みたい。
――王子様とお姫様
まだ朝日奈家に来て、間もなかった頃。
「あのねるいにい。琉奈ね、しょうらいは、およめさんか、おひめさまになるの!」
「じゃあ、ぼくは、琉奈ちゃんのだんなさんか、おうじさまになる」
大きな絵本の真似をして、僕が、琉奈ちゃんにキスをすると、僕と琉奈ちゃんは、一緒に笑いあった。
“血のつながったキョーダイは結婚できない”
大きくなってからその事実を知ったとき、琉奈ちゃんはいっぱい泣いてたね。
「琉奈は、るいにいとずっといっしょにいられないの……?」
「ぼくは、琉奈ちゃんといっしょにいるよ。だんなさんにはなれないけど、ぼくはまだ、琉奈ちゃんのおうじさまになれるもん」
「ほんとう?るいにい、琉奈とずっといっしょ?」
泣き顔から一気に花が咲いたみたいに笑顔を見せてくれた琉奈ちゃんを、僕はまだ、覚えている。
「僕はまだ、琉奈ちゃんの王子様でいられるかなぁ……」
不意に出た言葉に、琉奈ちゃんは目を丸くした。
「琉生兄さん、覚えてたの?」
「うん、僕は琉奈ちゃんの旦那さんにはなれないけど、王子様にはなれるから……って、言ったよね」
「そっかぁ……覚えてるの、わたしだけだと、思ってた」
くすくすと笑いをこぼす琉奈ちゃん。色素の薄い髪、菫色の瞳。本当に、僕にそっくり。僕たちが、双子だっていう証拠。
僕たちの血が繋がっているあかし。
「琉生兄さんは、ずっと私の王子様、だよ」
「じゃあ、琉奈ちゃんはずっと僕のお姫様、だね」
これからも僕たちは、一緒に年をとって、おじいちゃんとおばあちゃんに、なっていくんだね。
それって、とっても、素敵なこと。僕たちがずっと一緒にいられるってこと。
だから。
「お誕生日、おめでとう……それから、ありがとう、琉生兄さん」
ずっと君の王子様で、居させてほしいな
ガラスの靴を待ってる王子様
(Happy Birthday LOUIS ASAHINA)