※現パロ



大学の交換留学生のドルイットくんに薔薇の花束を貰った。


「えっ、あの、ど、ドルイットくん?」


「おや、どうしたんだい、レディ?」


「わ、わたし、誕生日でも何でもないよ?」


「そんなこと百も承知さ。君の誕生日は来月だろう?」


「そ、そうだけど……」


じゃあ、なんで薔薇?おかしい。わたしはドルイットくんに話してすらいない誕生日を知ってもらうほど可愛い娘ではない。ドルイットくんがうちの学部に来ているからといって、わたしがドルイットくんとお話する機会なんて、ほんの2、3回で。それも、次の講義はどこでやるとか、そんなことこそ話せど、ドルイットくんにこんな、真っ赤な薔薇の花束を渡されるほどじゃない。
ひょっとして、彼の故郷のイギリスでは、こういうことって日常茶飯事なのかな。
それとも、きっと、罰ゲーム的ななにかだったり、好きな人に受け取ってもらえなくって、それで、わたしに渡したとか。きっと、そうだ。



「あ、あの、ドルイットくん。」


「この薔薇は私の溢れ出る君への想いの一部だとおもって受け取って欲しいのさ。」



ひ、否定が出来なくなってしまった……!外国の人がこんな、真っ赤な薔薇の花束を渡すなんて、そりゃ、愛の告白とかであると、わたしでもわかる。でも、そのへんはわたしは罰ゲームなんだねーくらいの軽いノリでかわさせて欲しかった……!
ドルイットくんはさらに「一目見た時からなまえのことが」みたいなことをつらつらと言い始めた。ひいいいい、は、恥ずかしい……!



「私の留学が終わるのと同時に、一緒にイギリスに行こう。家族にも紹介しようか。」


「ちょっ、はい!?」


「式は向こうで挙げてもいいんだけど…レディが望むなら、こちらでシロムクとやらで、挙げても構わないよ?むしろどっちでも挙げてもイイよね!はぁん……何物にも穢されない純白が、さらになまえのことを輝かせ……、君は私にだけ啼く歌鶫になるんだ!!」




は、話が飛躍しすぎである。全く持って意味がわからない。え?わたしドルイットくんと結婚するの?日本人とさえ付き合ったことないのに、いきなり外人と結婚??嘘でしょ?あと歌鶫ってなに?ていうか、



「な、なんで、角に追いやるの、ドルイットくん……!?」


「日本のヤマトナデシコの奥ゆかしさは美しいけれど、レディは少しシャイなところがあるからね。私が強引に行くことで、なまえは逃げられないだろう?」


あと、私と結婚したら、もうなまえは私のことを「ドルイットくん」とは呼べないよ?私のことは「アレイスト」又は「ダーリン」と呼ばなくてはね?





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