◎朝の教室

あ、八王子さん、おはよぉ……。え?元気がない?そうかなぁ?きっと、僕も皆も教室の空気にやられちゃってるんじゃないかなぁ?ほら、十神君が疲れてる……っていうかぁ、イライラしてる……みたいなんだよねぇ。それで、背中から哀愁漂ってて…。あ、でもそばにいる腐川さんは大丈夫そうだねぇ。ちょっと顔が青ざめちゃってるっぽいけど……。
八王子さんも平気なのぉ?すごいねぇ。……八王子さんは、なにか心当たりある?その……、十神君があんな風になっちゃったの。えっ、昨日から十神君と話してないのぉ!?
……なんとなくわかっちゃった気がするなぁ。……え?ううん、何でもないよぉ。……あ、チャイム鳴っちゃったねぇ。じゃあ、また後でね、八王子さん。




(十神君がイライラしてるのは、多分八王子さんがいないからだよねぇ?八王子さんはどうして十神君を避けちゃってるのかなぁ?)
(昨日はかなみがいない上に腐川が五月蝿かった……。かなみめ……一体どういうつもりだ?)







◎お昼休憩

んぁ?どうした、八王子っち。占いか?んじゃあ、特別サービスで今日の昼飯で手を打つべ!……うひょー!サンキューだべ!んじゃ、占うからそこ座んべ。えぇーっと、水晶玉、水晶玉…っと。お!あったあった!そんじゃあ、始めるべ!
んんー?……こ、こりゃあ…、ヒィッ!!?八王子っち、き、危険だべ!!と、十神っちの般若みたいな恐ろしい顔が直感で見えたべ!!い、今すぐお祓いを!!……ってあれ?なんで八王子っちの未来なのに、十神っちが出てきたんだべ?八王子っち、十神っちと喧嘩でもしたんか?……え?してない?んんんんー……おっかしいなぁ。……まぁ、言っても俺の占いは3割だからな、当たんのは。今の生活改めれば、自ずと未来は違ってくんべ!




(にしても、さっきはビックリしたべ……。いきなり十神っちの顔の先制攻撃……。もう、二度と見たくねぇ。クラスメイトのあんな恐ろしい顔は……ってヒッ!?十神っちが視線で俺を殺そうとしてくる……!)
(かなみの奴……いつもは葉隠なんかに近づくなときつく言い聞かせているというのに……!)






◎授業後

ん?どうしたのだね、八王子くん?何、わからないところがある?そういうことは、授業中に挙手して先生に問う、又は、授業後に先生に聞きに行くのが当たり前だろう!まぁ、僕にも説明できないわけではないが……。仕方ない、今回だけだぞ?どこがわからないんだね、キミは?……あぁ、ここの現代語訳か。ここは、原文にはないが、現代語訳には「和歌の」がつく。つまりここの訳は、「薩摩守がおっしゃることは、「数年来、和歌のお教えをいただいて後、あなた様をおろそかに思い申し上げたことはございませんが」」となる。そしてこの次の「この二、三年は、京都の騒ぎ、国々の乱れが起こり……」と繋がっていくのだ。ここは文脈から、原文にはない言葉を現代語訳で補うことが、大事なのだ。
わかったかね?……そういえば、八王子くんは、いつもわからないところを十神くんに聞いていなかったか?まぁ、キミと十神くんの席の距離は結構あるからな。僕の席の方が近いと判断したんだろう?うむ、賢明な判断だぞ、八王子くん!ハッハッハッハ!





(……にしても、僕の説明で十神くんよりわかりやすい、というのはないだろうな……。やはりここは十神くんに説明してもらったほうが……って、ものすごく十神くんがこちらを睨んでいるのだが……気のせいか?)
(……石丸、後でじっくり話を聞くとしようか……)
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