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久しぶりに地元のデパートにやってきた。いつもは電車に乗って一時間弱かかるところにいくことが多いんだけれど、最近、地元のデパートが改修工事をして、あたらしくなったらしい。折角だし行ってみるか、と家から歩いて20分。
だいぶ新しくなって、昔馴染んだ店が若干数潰れていたり、逆に私好みの雑貨店や、今時の子供が遊ぶのに喜ばしいゲームセンターが出来ていたり。


「あ、そういえば」


よく、お母さんにおねだりして、屋上の小さな遊園地もどきに連れていってもらってたなぁ。ソフトクリームを口の周りをベタベタにしながら食べて、お母さんに拭われてたっけ。そういえば、迷子になった時も、屋上にいれば、お母さんが走ってきてくれたなあ。なんであの時、迷子センター行かなかったんだろう、私。


「どうせ予定もないし、行ってみるかー」



屋上の小さな遊園地もどきはあの頃のままだった。あの頃のままっていったら、語弊があるかな。メリーゴーランドや、コインを入れたら動く動物型の乗り物とか、そのまんまだけれど、新しくなってる。

小さい子たちがお母さんと一緒にいる。そういえば、たまの日曜はヒーローショーがあったりしたなぁ……。




「………ん?」


よくみたら、5歳くらいの男の子二人が涙目になりながらベンチに座っている。迷子だろうか。



「そこのボクたち!」


「「!?」」


お、おう……すごいビックリされた。いや、そりゃそうか。



「君たち、パパとかママは?それとも、ここでお留守番かな?」


「お、おれはママときた、けど……ママ、どっかいっちゃって……うぇっ」


黄色いツナギを着たロボットを抱えた男の子が泣きそうになりながら答える。



「こ、こいつも、ママとはぐれて……」


「は、はぐれてない!ちゃんぴーが、おそらをみたいって、いったからっ、おれさまがつれてきただけでっ」


マフラーをつけたハムスターを抱えた男の子も泣きそうになりながら答える。どうやら、この二人は兄弟ではないらしい。


「そっか、二人ともママと離れちゃったんだね、じゃあ、お姉ちゃんとここで待ってようか!」


「え、でも……」


マフラーの子が眉を下げてこちらを見てきた。く、可愛いな。


「お姉ちゃんね、なまえって言うの!君たちは?」


「そ、そうだかずいち。ごさい……」

「たなかがんだむ、ごさい……」


がんだむ!?いったいどんな字書くんだろう……お母さんガノタなのかな!?って、それどころじゃないか。

「よし!かずいち君、がんだむ君!お姉ちゃんと遊ぼう!」


「まじで!?」

「おうよ!」

「ちゃ、ちゃんぴーも!」

「よし、ちゃんぴーも一緒だ!!」

「!!」




それから、私とかずいち君、がんだむ君はメリーゴーランドに乗ったり、ソフトクリーム食べたりして屋上を満喫した。やばい、こんなはしゃいだの久しぶりだ、明日筋肉痛かも。





「へぇー。じゃあ、かずいち君はロボットとか機械が好きなんだね!」


「うん!これもおれがつくったんだぜー!なづけて、でらっくすろぼいちごう!」


「おー!かっこいいじゃーん!がんだむ君は、何が好き?」


「お、おれさまがすきなのは、はむすたーと、いぬと、ねこと、あとー、へびとか、とかげもすき!ぜんぶ、かってるの!」


「へー!ヘビかぁ!お姉ちゃんヘビテレビでしか見たことないや。」


「こ、こんどみせてあげる!」


「こ、怖くない?」


「こわくない!!」


「じゃあ今度会う時があったらね!」


そんなことを話していると、二人のお母さんがやって来て、「本当に、有難うございます!」と言いながら頭を下げてきたので、「いえいえ、息子さんたちと話せて楽しかったです」と言って、彼らに手を振って帰った。




それから一週間後、彼らが実はご近所に住んでいたと発覚し、一層懐かれるようになったのはそう遠くない話である。


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