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※唐瓜視点


久しぶりに鬼灯様と茄子とで、記録課にやって来た。鬼灯様曰く、無意識な心の病患者が増えていないかチェックしにいくらしい。それがいいと思う。あそこは色々やばい。



「葉鶏頭さん、最近どうですか」


「鬼灯様、わざわざ来てくださらなくても皆きちんと仕事してますよ」


「文字がゲシュタルト崩壊したり3Dに見えてる時点で健康に支障をきたしてます。……かと言って、休むと仕事に穴が空きますし……ここの仕事はある種、なれる人がなるところですし……」


「あぁ、それなら大丈夫ですよ。うちには私と同じくらい優秀な人材がいますから……」


「えっ?そんな人、前に来たとき居ましたっけ?」


思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。だがそれも仕方ない。俺はずっと、ここにはハゲイさん以上の記録課の匠なんていないと思っていたからだ。いや、いたらいたですごく困るけど。



「あぁ、前に来たときは彼女は鬼インフルエンザで休んでましてね。元々身体が弱いらしくて、体力勝負の拷問専門獄卒よりこっちの方が性に合ってるってんで、記録課所属になったんですよ」


鬼女なのに不健康なのか、鬼灯様が聞いたらどう思うんだろ……と、鬼灯様をチラ見したら、なんか眉間に皺寄せてハゲイさんをガン見してた。


「その獄卒、今日は来てるんですか?」


「え?あぁ、ほら。丁度来ました。」



そこに居たのは、アイスブルーの髪色が印象的な、眼鏡を掛けた儚げな見た目の獄卒さんだった。



「葉鶏頭さん、最終チェックお願いします」


「はいはい……うん、ケアレスミスもなし。OKです」


「ありがとうございます」


「なまえ君はよくやってくれるね、記録課はずっと座りっぱなしだし、腱鞘炎と友達になるし、女性には辛くないかい?」


「いえいえ、わたしは身体が弱いし、姉さんのように実践的な拷問が下手なので……文字を書くのは好きですし、わたしにとっては、記録課は天職ですわ」


「おお、そう言ってくれると嬉しいよ。文字の素晴らしさを分かってくれるなんて、やっぱり君は記録課に居るべき人だね」


「勿体無いお言葉ありがとうございます、これからも精進してまいりますわ」


やっぱり、この人がハゲイさんの言ってた記録課の匠その2か。じーっとその美人さんを見てると、既視感を覚えた。……ん?そういえば、



「あれ?この人、誰かに似て……」


「………お香さんの妹のなまえさんですよ」


「へっ!?あっ!あああー!」



まじで!?お香姐さん妹いたんだ!全然知らなかった……!!



「あら、姉さんの知り合いの方?はじめまして、なまえと申します」


「はっ!はじめまして!!唐瓜です!こっちは茄子!」


「あら、美味しそうなお名前ね」


「なまえさんおっぱいでっかいね!」


「ゴルァ茄子!?お香姐さんの妹さんに何言ってんだボケ茄子!!」


「ふふふ、でも肩が凝って大変なのよ?」



普通に答えてるし……!!やっぱお香姐さんの妹なだけあって、こういう事には慣れてんのか??



「なまえさん」


「あらまぁ鬼灯さま。姉さんがお世話になっています」


「いえ、どちらかというと私は貴女にお世話されたいです」


「どさくさに紛れてプロポーズした……」


「あらやだ、お世辞でも嬉しいことおっしゃってくれて!」


「普通にスルーした!?」


「なまえさん何気に強いな〜」


「貴女、記録課に配属されてたんですね。部署調査として等活から阿鼻まで調べに行ったのに居なかったのは、灯台下暗しということですか」


「あら、お仕事の経費を一般の獄卒なんかのために使ってはなりませんわよ、鬼灯さま。……でも、わたしは早く鬼灯さまを義兄さんってお呼びしたいわ。鬼灯さまでないと、姉さん一生独身のままでいそうなんだもの……」


「またその話題ですか。お香さんは貴女に良い相手が見つからない限り身は固めないと言っていますよ?だから私とかどうですか?これでも私高給取りですよ?今時の現世の婚活では女性が血眼になって奪い合うレベルでの良物件ですよ?」


「あらまぁ、うふふ。最近薬剤師の方も今の鬼灯さまみたいなこと言ってきましたのよ?身体のケアも僕の薬で万全にしてあげるから結婚しないー?って……」


「……それはもしかして、あの天国の、白澤とかいう色情魔の極楽蜻蛉のことですか?」


「あらぁ、よくお分かりになりましたわね!まぁ、あちらは格式高い神様ですから?ほんの冗句で言っているのだと思いますけれど。……ふふふ、鬼灯さまも、冗句がお好きねぇ」


「………(あの碌でなし色情魔……)」





あ、今鬼灯様凄い怖い顔してアカンこと考えてるわ、チャッチャと茄子と帰ろ。


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