◎知歳さんと白雪さん
「ところで、知歳さんは桑田さんとお付き合いされているというのは、本当なのかしら?」
「……どこからそんな情報が出てくるのか、私は甚だ疑問なんだけど、有栖川さん。」
「あら?違っていて?桑田さんの知歳さんを見る目が少し、情欲を孕ませているように見えるのはあたしだけかしら?」
「………違うよ。桑田くんは、ただの教え子。最近、勉強会してるの、桑田くんと。」
「あらあら、そうだったの。あたしったら、また随分な勘違いをしてしまっていてね。恥ずかしいわ。」
「……有栖川さん、貴女のその見え方だと、桑田くんが私に片想いしてるっていう勘違いの方が自然だと思うんだけど」
どうして、私と桑田くんが付き合ってるなんて思ったの?
「……はてさて、何故かしらね?」
「……誤魔化しちゃうなんて、ずるいなあ、有栖川さん」
「うふふ、強いていうなら先程の桑田くんの見え方のロジックが貴女にも通ずるものがあったのではなくて?」
だって、貴女ってば、桑田さんのこと、前までそういう風に認識していなかったようにあたしは思えたもの。それが勉強会まで開く仲になんて、ねえ?知歳さん。これってひょっとして、貴女にも桑田さんと同じような情欲の感情が生まれてしまったからではなくって?
「ふふふ、そこまで考えたこと、無かったよ、有栖川さん。」
その、勘違いをしている様で、全てを見透かしている様な物言いが、私、大好きだわ。