「沢田って何考えてるか分かんないから苦手。なんか暗いし、友達いなさそう。それに比べて、骸ちゃんって、かっこよくてスタイル良いし、男の鑑って感じ!」

男女五組が入り混じってテーブルに向かい合って、料理を突きあう。こういうシーンで率先して料理を取り分けるイイ子ちゃんは嫌われやすい、というのが女子の鉄則らしいが、この日に限ってはそんな心配は必要ないらしかった。
テーブルの端っこでせっせと大皿から小皿に取り分けてくれる沢田という男子がいるから。

「ねえねえ、骸ちゃんって沢田と知り合いなんだよね。どういう関係? 友達って、想像できないんですけどオ」

女子が大声で言うもんだから、他の男女も食いついてきた。沢田本人がこの場にいるにもかかわらず口々に悪意の言葉を投げる。沢田の方を見遣っても、先程と変わらない様子で料理を取り分けている。
女子の一人が腕に絡んでくる。上目遣いで僕を見、小首を傾げる。

「骸ちゃんにとって、沢田って何なの? 教えてよ」