「花京院は変わってるね」
そう言われたのが転校する前日の事。
全く話した事のない女の子だった。
「僕に話し掛ける君の方が変わってるよ」
女の子は笑った。
僕は苦笑いした。
「花京院はなんで人と距離を置くの?」
女の子は不思議そうだった。
「分かり合えないからかな」
僕は溜息をついた。
「分かり合える人が次の学校にいるといいね」
にっこりと女の子は笑った。
「そうだね」
僕も釣られて笑った。
「じゃあね、次の学校でも頑張れ」
女の子は去っていった。
寂しそうだった。
僕はクスッと笑った。
彼女、なまえは、優しい子だと思った。
一年前もこの場所で話した事。
その時も君が僕を心配してくれた事。
僕は覚えているよ。
なまえの後ろ姿が小さくなっていった。
僕もその場から立ち去った。