「好きな花はなんです?」
「急にどうしたんですかボス」
「いえ、気になったものですから」

そう言うとボスはテーブルに置いてあった紅茶を飲み始めた。今日のボスはいつもと違った。雰囲気が違うのだ。いつもは張り詰めている空気も今日は何故か和やかだ。やっとボスの年相応の空気を纏うようになったか。そう安心していた。ボスは私よりも年下だ。しかし、私より美しく、私より落ち着きがあり、私より仕事がうまく、私より人望が厚い。ボスは私より優れている人物だ。昨日、ボスが命を狙われたときも護衛である私より早く行動し、ボス自らが敵を始末した。私がボスの傍に居ては邪魔ではないのだろうか。ボスも私よりミスタさんや他の方が護衛についていた方が安心するのではないか。そう思った。

「ボス」
「なんですか?」
「あの・・・」
「ああ、言いたいことはなんとなく分かっています」

フッと笑うとボスは花瓶に生けてあった花を一輪こちらに渡した。

「薔薇ですか?」
「そうです」
「何故薔薇を?」
「知ってますか?白薔薇の花言葉は『あなたは私にふさわしい』なんですよ。僕にふさわしいのはあなたしかいないのでこれからも傍に居てくださいね」

では。そう言ってボスは部屋を出て行った。ボスの言いたいことはよく分からなかったがまだ護衛を続けろということなのだろう。

数分後、ふと窓の外を見るとミスタさんと先程部屋を出て行ったボスがいた。ミスタさんは大声でボスの顔が赤いとからかっていた。ミスタさんが痛い目を見るのではないかと思い、窓から視線を逸した。その直後、窓から聞こえてきたボスの声。

「女性に告白したのはこれが初めてなんです。仕方ないでしょう」





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