「お前はまだまだ子供だな」
後ろから声を掛けられ、ゆっくりと振り返る。
私はこの声を知ってる。
同じような台詞だって昔何回何回も聞いた。
「DIO様……?」
名前を呟けば彼は前と変わらぬ表情でクックックッと喉を鳴らし、笑った。
「何故ほうけているのだ?」
誰だって驚くだろう。何故なら、彼は死んだのだ。ジョースター家の血統に身体を真っ二つにされ、日光を浴び、砂となり消えた。だから私の目の前にいるはずがないのだ。
「生きていらしたのですか?」
「…いや、私はあの日確かに死んだ。お前が想像している通りだ」
「じゃあなんで…」
DIO様はフッと鼻で笑い、いつの間にかあった王座に座った。足を組む姿は生前と変わらず美しかった。
「なまえ、私に館を返せ」
「なんの事ですか?」
「もっと分かりやすく言ってやろう、館にはもう誰も帰って来ない」
「何を、言ってるんですか」
「お前はいつまで過去に縛られているのだ。お前の今の姿は実に哀れだぞ」
私を見るDIO様の目が冷たかった。放つ言葉が冷たかった。
違う。
彼はこんな目で私を見なかった。彼は、本物のDIO様じゃない。
「お前は受け入れられないだけだ。…時が来れば受け入れられるかもしれんな」
最後、フッと笑った表情は生前のDIO様と重なった。
瞬いた瞬間、彼の姿は消えていた。
分からない。
彼は本当にDIO様だったのか。
一つ分かった事はこの館に居ればまたDIO様に会えるかもしれないという事だけだ。
受け入れられない少女
受け入れて自分の道を進んで欲しいと願う男性