ギアッチョの唇が好きだ。
ぷっくらとしていて、女の子が憧れるような唇。色は不健康そう。でも、ピンクのグロスがよく映えると思うの。
実に羨ましい、実にけしからん唇。


「畜生、ギアッチョくたばれ」


唐突に言えば、ハイハイ、うっとうしいですといった態度でソファに横たわるギアッチョ。くそう、余計に悔しくなってきた……


「なんでこんなに差があるんだろう……」
「何が」
「唇」
「そりゃあ個人差あるだろ」
「まー、そうなんだけどね」


ギアッチョみたいな唇になりたいからと新しく買ったリップクリームを塗り、ファッション雑誌に目を通す。ギアッチョは仕事でお疲れのようだし、今日は一人で何か食べに行こう。


「なまえ」
「どうし……」


顔を上げたら目の前にはギアッチョの顔があった。部屋に響き渡ったリップ音。


「俺はオメェの唇好きだぜ」


ニヤッと笑うギアッチョ。仕事の疲れはどうした、疲れは。寝るんじゃなかったのか。ギアッチョの態度の急変っぷりに驚いたが、彼なりの気遣いなんだろう。耳まで真っ赤なギアッチョをからかえば「うるせぇ」と悪態をついてきた。




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