矛盾し合ったいくつもの事が
正しさを主張しているよ
愛するって、奥が深いんだなあ、



またアナタの夢を見た。
いつになったら忘れられるんだろう、
ぐしゃぐしゃになった空気を吸い込んで
喉から肺から遂には心臓まで
私はぐしゃぐしゃになる。

ベッドと壁の隙間に身を寄せて、
シーツを引き寄せる。
アナタとキスをした部屋。
アナタと身を寄せた部屋。
どこに行ってしまったのだろう。
今はぐしゃぐしゃになった、
ぐしゃぐしゃな私しかいない部屋。

もう一度、
もう一度アナタに触れたい。

どこまでいけばアナタに会えるでしょうか
私はふらりと部屋を出る。
近くの花屋で白い花束を買う。
彼が好きだった花。
私はあまり好きではなかった花。
でも今はこれ以上に好きな花はない。
不思議だ、私という人格が
私すら知らないものになっていく。
ね、それって、アナタの所為かなあ、
花の香りに顔をうずめて、
アナタの好きな花の匂いを取り込む。
ああ、ああ。
アナタの微笑みが、蘇る。

私はその後。自分のマンションに戻って
手紙を書いた。矛盾。
どうして彼に容疑がかかった?
どうして刑事さんはピストルを忘れた?
どうしてあの人を公園に追い詰めた?
どうして公園にあの子がいた?
どうして、隕石なんか、降ってきた?
どうして。どうして、私は今、
彼に触れられない?
彼の微笑みに会えない?
どうして彼の死体にすら会えない?

矛盾。矛盾。
どうしてすべては事実なんだろう。
どうしてこんなにいたみを伴うのだろう。
すべては事実で、彼はいなくて、
でも私は彼に触れたくて、
微笑みに会いたくて。

「ヨミエル。」

名前を呼ぶだけで
世界がひっくり返るくらい苦しい。
手紙を破る。
ゴミ箱の奥に深く埋め込んで、
小さな便箋を取り出す。

『ヨミエルに会いにいきます』

それだけで、充分だった。
もう一度彼の微笑みを。
もう一度彼と微笑みを。
私は便箋を大きな封筒に入れて封をした。
花束を取り上げて部屋を出る。
鍵はかけなかった。

エレベーターは私を屋上まで運んでいく。
10階立てのマンションの一番上。
アナタに一番近いんじゃあないかしら。
ああ、早くアナタに会いたい。
アナタも辛いんじゃないかしら、
私も辛いから、アナタはもっと辛いわよね
せめて、アナタにもう一度微笑みが
戻ればいい。
だから会いたいの。ヨミエル。
私は花束の包装をほどく。
冬の浮き足立つ寒さは
ぴりりと肌を刺して。
花束は輪ゴムを外すと
ばらばらと階下に散っていった。
ああ綺麗だ。
彼の微笑みが空に蘇る。
フェンスを乗り越えた先から
視界にいっぱい空を映した。

「会いに行くわ、ヨミエル」



微笑みを、もう一度
(アナタにそれを取り戻して欲しいから。)



______

Mr.childrenの「NOT FOUND」が
なんかずっしりきた結果。
おれたち、と繋がってるかも。
シセルさんを捏造するのは危険だけど
楽しいです←

2010.08.24
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