自転車がパンクする夢を見た。
ハナダで引き換えてもらった最新型の自転車。急に、ガタン、とサドルが上下して僕はお尻をしたたかに打った。でも痛くなかった、なぜなら夢だから。それでも漕いだ感じは明らかに変だなと思ったので、先を急ごうとする黄色の相棒を待たせて自転車を降りた。緩慢な動作でしゃがみこんで、横から眺めると後輪が見事に潰れていた。そんな夢だった。それから僕は何回か立ち上がったり、またしゃがみこんだりして考えた。自転車の周囲を一周したりして、どうしようかと言うように溜め息をついた。でもハナダは遠かったし、自分で直すのも専門外だったし、近くに自転車屋さんは見当たらなかったしで。あぁ運が悪い。せめてもう少しハナダに、いや、街に近かったら、直してくれそうな所まで押して行くのだが、ここは田舎道の真ん中だった。人もいなかったし、リザードンは何故かまだリザードだった。正に八方塞がりの夢だった。こんなとき、アイツがいてくれたら良いのになぁ、とぼんやり思う。昔っから手先が器用で、良く分からないけどなんでもできて、だから多分自転車のパンクぐらい何ともないように直してくれるハズだ。と、夢の中なのに最近会ってない幼なじみのことを考えた夢だった。そのあと、僕はポケギアで彼に連絡を取ろうと黄色い相棒を肩に乗せながらギア番を押した。そして
「あ、グリーン…?」
目が覚めたのだ。ご丁寧に最後の言葉は寝言になっていて、それで起こしてしまったらしい僕の黄色の相棒が寝ぼけ眼でそばにすり寄ってきた。どうしたんだと言わんばかりに額を小さな手でさすってくれる。自分だって眠いのに僕の心配をしてくれる相棒が愛おしくて、僕は頭を撫でてお礼を言った。そうして、相棒をもう一度寝かしつけてから、寝転がったまま、さっきの夢の続きを考えた。あの後、もしグリーンが電話に出てくれたら、多分彼は俺の頼みに不満を垂らしながら、それでもやってきてくれるのだろう。それでそこら中に工具を広げながら、でも手際良く後輪のパンクは修理されるのだろう。そこまで考えて、どうして夢が覚めてしまったのだろう、と残念に思った。かなり自然に。急にその考えに至った自分に驚いた。パンクしてあんな所で立ち往生なんて夢、もう見たくなかったのに。それでも続きを見たいと思ったのは、何故なんだろう。

パンクした夢の話
(誰もいない山の頂で人を求める夢を見た)


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旅のいちページの夢。グリーンは見よう見真似でできちゃうタイプ。
無意識に依存してると良いなと。

2010.04.26
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