QLOOKアクセス解析 小説本文 | ナノ



ハロウィン♪ (長州組)



秋も深まりつつある神無月-10月-の終わり。
私はお茶を淹れて、高杉さんの元へ向かった。

「高杉さん」
「さすがオレの嫁だな!ちょうど喉が渇いてた」

部屋に入るなり、大歓迎の高杉さん。
お盆を茶卓に置いて。

「Trick or Treat!」
「おお!新しい遊びか?!」

さすが食い付きがいい。

「『Trick or Treat!』は西洋の収穫を祝うの行事
『ハロウィン』で行われる子供たちの行事です」


「はろう・・いん、それは具体的にはどんなだ?」

「子供たちはお化けとか仮装をして、
「『Trick or Treat!』つまり『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!』
って言いながら、お菓子を貰うんです」


我ながらざっくりした、説明ではあるけど・・・。
本格的な物知らないから、いいよね?

「仮装か・・・それは1対1でやるものか?」

「人数は決まってませんけど、
各家を訪ね歩くらしいので・・・」


そこまで言うと、高杉さんは何か思いつたらしく、
桂さんを大声で呼び付けた。

「なんだい晋作、大声を出して・・」

「小五郎!これから”はろういん”をする!
藩邸の者たちに菓子を持たせろ!」


「はろ・・・いん?」

意味がわからずキョトンとする桂さんに、説明をする。

「すいません・・・こんな大事にするつもりはなかったのですが」
「いや八重さんのせいじゃないよ、
大騒ぎするのは晋作のいつものことだからね」


桂さんはにっこりと笑って言うけど、
きっかけを作ってしまった私は、少し申し訳なくなった。

それでも、始まってしまえば、
思いのほか藩邸の皆さんも楽しんでくれて。

「お頭〜菓子渡して悪戯はないですよ〜」
「何を言う!菓子を貰うのは八重で、
俺はイタズラの為に付いて歩いているんだ!」


とオリジナル要素も加わり、夕方近くまで藩邸内は
にぎやかだった。

終息に向かったのは、夕餉の準備が始まる頃。

「なかなか賑やかだったみたいだね」

と、夕餉の支度をしながら桂さんが言う。

「みなさんに楽しんでいただけたみたいで、良かったです」

私も夕餉のお手伝いをする。
ふと思い返してみると、あの騒ぎの中に桂さんが
いなかったような・・・・?

「ああ、私は大久保さんのところへ
使いに行っていたからね」

「え?そうだったんですか?
参加できなくて残念でしたね」

「そうだね、じゃあ、今しようかな?」

突如、桂さんが向きを変えて私の正面に来る。

「言ってくれるかな?」
「え?あ、Trick or Treat?」

なんだか、よくわからず疑問形で発言。

すると口に飴玉を放り込まれる。

「桂さん、飴持って・・・」

いたんですね、という続きの言葉は、桂さんに吸い取られた。

言葉だけでなく、呼吸までも吸い取られる。
強く抱きしめられて、桂さんに口づけを
されていることに、気がつく。

息が苦しくなって、桂さんの着物を握る。
それを合図のように、桂さんが離れた。

「うん、やはりお菓子は甘いね」

何事もなかったように、食事の準備に戻る。

「さて、お膳を運ぼうか」
「〜〜〜〜?!」
「うん?どうしたんだい?」

私は真っ赤になって言葉にならず、桂さんを見る。
そして、呼吸も整わないまま口を開く。

「か、か、桂さん、い、今の!?!」
「ああ、勿論、晋作には内緒だよ?」

桂さんは、お膳をもって広間へ向かう。

その後ろ姿を見ながら、イタズラをされたのは

私のほうだったと、

今さらながら気が付いた・・・・。

<end>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれあれ・・・長州組で書いたはずなのに
気がつけば桂×小娘・・・・。
何処で間違えたんだろう・・・?


☆目次☆


☆comment?☆