学校帰りに寄った喫茶店で、七夕のことが話題になった時のこと。 「 願い事って……普通どういうのを書くんだ?手本を見せろ」 それは学校帰りにお茶してた時のこと。 注文を取りに来たお姉さんが「願い事を書いたら渡してね、本番までに店の前の笹に吊るすから」と 短冊を2枚置いて行った。 それをみて、短冊を手にして聖司さんが言った。 私は少し考えてから。 「うーんと・・・例えば子供なら『ケーキ屋さんになりたい』とか?」 「ケーキ屋?なんでわざわざ、そんなこと書くんだ?」 当然、納得のいかない聖司さん。 外国暮らしが長かったせいか、あまり日本の風習とかに馴染みがないみたい。 「クリスマスに欲しいものを手紙に書いたりするじゃないですか? それを七夕ではお星様にお願いするんです」 「・・・ふーん」 「ほら『星に願いを』って曲もあるじゃないですか」 「ああ・・・」 あまり納得してない様子なのは手に取るようにわかる。 じゃあ。 「せっかくだから、一緒に短冊に願い事書きませんか?」 「・・・面倒」 「そんなこと言わないで、書きましょう!」 半ば強引にペンを渡す。 しばしの沈黙・・・・聖司さんは何を書いていいか悩んでる風だった。 私の書きたいことは決まっている、それは七夕に限らず常日頃から思ってることだから。 悩んでいる聖司さんを横目にサクっと短冊に書いて、裏返しに置いた。 「あ!お前、さてはもう書いたな?」 「だって願い事は決まってましたから」 「見せてみろ」 「ダメですよ、ちゃんと自分の願い事書いてください。そしたら、お互い見せっこしましょ♪」 ちょうど運ばれてきたアイスティを一口飲んで言うと、予想通り聖司さんは拗ねていた。 お店を出るときに私は短冊を店員さんに渡したけど、聖司さんはとうとう書かなかった。 七夕当日の朝。 「バンビ(私のあだ名)!七夕の短冊書いたんだね!」 ちょっと驚いた様子でカレンが言うので。 「え?そんなに意外?私結構イベントもの好きなんだよ」 と答える。 「違う違うバンビじゃなくて、設楽さん!あの人が短冊書くなんてね〜」 カレンが面白そうに言う。 「え?!聖司さん書いたの?」 「あれ?バンビと一緒に書いたんじゃないの?」 私は書いたことを知らない。 カレンからの情報で放課後が待ち遠しくて仕方なかった。 放課後、駆け足で喫茶店に向かった。 店先に立てかけられた大きな笹から短冊を探しだす。 『いつもアイツが笑顔でいられますように Seiji 』 私の短冊の隣に、流れるような文字とサインを見つけた。 これって・・・・私だと思ってもいいのかな? 「・・・なんだ、もう見つけたのか」 背後から不機嫌な声がして振り向くと、少しバツの悪そうな聖司さん。 「特に願うこともなかったからな。」 フイっと横向いて言うと、さっさと歩きだしてしまった。 「聖司さん・・・」 慌ててその姿を追いかけて、横に並ぶ。 聖司さんがそんな風に、たとえ書くことがなくて仕方なくだとしても嬉しかった。 ちなみに私の願いは・・・ 『聖司さんの夢が叶いますように 八重』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言い訳・・・・・・・・・・・・・・・・ イベント大好き人間として、七夕にアップする予定が、日付を超えてしまいました。 おかしい・・・もっとラブラブにしてみたかったのに。 小学生のやり取りみたいになった・・・(汗) もっと精進します・・・・ |