はじまりは、剣を9年も学んでいるという変わった女だという認識。 奇妙な姿で現れて、寺田屋までの案内役を押しつけられ・・・。 歩くのは遅い、途中でくたばったかと思えば、 新撰組の土方と話していたり・・・。 とにかく、物事がすんなり行く・・・ということがない。 寺田屋に世話になり始めて、朝稽古に付き合うようになった。 思っていた以上に剣筋は悪くない。 いや、女でこれだけ出来れば上等じゃないのか? そして起きた人参と井戸転落事件・・・・。 ホントにアイツと居ると、平和な時が少ない。 しかし、その度に八重の厳しさと優しさと、 そして・・・人としての温もりを知ったような気がする。 動乱の最中、「人斬り」として、活き道を見失った。 そんな俺に生きる勇気を与えてくれたのは、間違いなくアイツだ。 何事にも前向きで、時には無謀な行動と・・・一途なまでの想いを。 今は大久保のもとで、笑顔で過ごしているだろう、 八重の幸せを、遠く離れた、この場所から・・ 心から祈っている。 そして、いつか俺にも・・・ 守るべき大切な相手を見つけた時は、きっとアイツのことを 思い出すだろう。 俺もアイツに、八重に負けない想いで、大切な人を守りたい。 風に揺れる赤い風車に、改めて誓った。 <end> |