例えば愛。例えば原子。例えば罪。例えば信仰。
 つらつらとそれらしい単語を並べた所で適した答えが見付かる筈もなく、結局僕は宙ぶらりんの感情を持て余すのだ。
 愚かしい。
 
 綺麗だとか純粋だとかの雑多な上っ面を繕えば楽に成れるのか、いや違う。寸秒たりとも本質を開帳出来ぬ現況で安寧など望めない。僕が望むのは本当の顏。
 貴方は綺麗に笑う。僕もそれに合わせて、至極。
 友人達から見ればさぞかし美しい兄弟の絵であることだろう。事実、彼が記憶を取り戻す前であれば一面においての真実だったのだ。
 今はもう誰も知らない。
 反逆者の記憶を取り戻した彼と、彼の手中に堕ちた暗殺者が、幸福に笑い合う腹の底で醜悪な欲動を飼い殺す事を。
 
 彼は僕を殺したい。僕が邪魔だ。僕が嫌いだ。利用価値をなくせば即座に捨てられる。
 僕は彼を犯したい。彼をおかしくしたい。
――だってそうすれば捨てられる心配なんてしなくていいじゃないか。
 いいだろう、もう。これまで散々一途に貴方を慕う気持ちを踏みにじってきたのだもの。多少の■■くらい、ゆるして、くれたって――…
 貴方に殺されるのは至上の悦びだ。僕が怖いのは、貴方が最期の最後に演技を辞めてしまうことなんだよ。本音を吐露して僕への素直な気持ちを開かさないで、突き付けないで。目隠しをしたまま甘い囁きの中で息絶えさせて。貴方の中でとぐろを巻く残酷な嗜虐心を、どうか、どうか、僕にだけは。
 殺すなら一瞬で心臓を貫いて。
 僕に全てを悟る余裕も与えないで貴方の感触に埋もれて死なせて。
 
 
 そんな生易しいことしてくれる貴方じゃないって知ってるから、僕は毎日貴方に怯えながら生きているんだよ。
 ねぇ早く、僕が貴方を殺してしまう前に
 
 
どうか殺して。
僕は貴方を殺したくない殺したい。
 
 
 
 
ちょっと前に発掘して何ぞこれって思ってたらこないだ唐突に思い出した。
ロロルルのつもりで書いてた奴だ!
 
 
← baaaack!
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