「偽らざるままにぎゅってされたい。

殺意を抱く前にキスを済ませたい。

凌辱してしまわないためにあますことなく優しくされたい。


でも世界は嘘で真っ赤に濡れているんだ、
いたいたしいほどに。

かなしいんだ。せつないんだ。
俺の目には殊更視憎いものしか映らない仕組みになっている。汚れているんだ。そんなものばかり視ていると俺も下らない生き物だと再認識させられるんだ。
それが、

かなしい。


たまには純粋で純情な優しさに触れたいって思うのは当然だろう?」




なぁ、




「俺は何かワガママを言っているだろうか?」


「………取り敢えずそれは、私に甘やかして欲しいと言うことか?」



調




 彼の救難信号はとても難解だが、一旦繙けばそれは恐ろしく容易い。
 膝枕一つで人外一人の精神的安定が保たれて、結果的にそれが世界を救うことに貢献している、などと、よもや見当もつくまい。被救済者たる億の一般人には。
 そして今日もわびしい午睡の刻が穏やかに過ぎていくのだ。



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