かまってちょうだい!
「サッチかまってー」
ノックと共にサッチの部屋に現れたエース。
そのままドタドタと部屋の中へと入る。
「ねぇってば!」
盛り上がるベッドを耐え切れずに揺する。
「ん〜・・・なんだよ、俺は眠いの。見ればわかるだろ?」
眠気を持った不機嫌そうな声が返ってくる。
サッチは夜番で昨晩は寝ていない。
早々に爆睡して昼近くまで寝ていたエースとは違うのだ。
「でも俺寂しい」
「エース」
エースの手が布団の隙間から中へと侵入し、サッチの肌をなぞる。
何も来ていない上半身の筋肉の上をエースの指先がくすぐるように滑る。
「俺は眠いんだ」
「わかってる」
「いいや、わかってない」
止まらない手を避ける様にサッチが寝返りを打つ。
そのまま壁際までより、エースの手は布団から抜け出されてしまった。
「冷たいな」
「それはお前だろう」
サッチは虚ろになりながらも答えを返しているが限界に近い。
疲れた時くらいゆっくり休ませて欲しいのだ。
「ゆっくり寝かせてくれ」
けれどエースは納得いかない表情を浮かべている。
「今頃はサッチのおやつを食べてる頃なのになぁ」
わざとらしくため息まで吐いてみせる。
「・・・・・・」
「あっ、起きる?」
無言で体を起こしたサッチに嬉しそうにエースが声をかけた。
「ん?」
サッチがエースに向かって何か示した。
口を開けろと仕草で命じられてエースは怪訝に思いながらも口を開けた。
「んぐ!」
「それで我慢しろ」
「あ?」
口の中を確認すると丸い塊があって転がしてみると甘い味と共にふわりと匂いが香った。
「飴玉?」
「そーだよ。これでおやつ食べたろ」
「それってあり!?」
驚いて反論するエースを無視してサッチは再びベッドへと潜る。
「おい、サッチ」
「・・・・・・」
エースが声をかけても今度は何も反応を示さない。
しばらく奮闘するもののビクともしない。
「ちぇっ、しょうがねぇか」
寝ていたサッチの体がビクリと動く。
「お邪魔しまーす♪」
二人分の重みを受けてベッドが軋んだ。
「そんな顔するなって」
ベッドに潜り込んできたエースにうっすらと開いた瞳が威嚇する。
「何もしねぇよ。ただサッチといたいだけさ」
そう頬を撫でてうっすら開いた瞳の上、瞼に口づけた。
警戒で力の入っていた体から力が抜ける。
「もううるさくしねぇから。一緒に寝かせてくれよ」
そう優しく問う言葉にサッチはただそっと瞳を閉じた。
それを肯定の意と取り、エースは微笑む。
「いい夢見ろよ」
自分よりも大きな体をエースは引き寄せ、己の腕の中へと仕舞う。
優しげに撫でられる背中のぬくもりを感じ、サッチもまた己の腕を相手の体へと回した。
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