クッキーよりも
「さあ、お前ら出来たぞー!」
「うわぁ!美味そう!」
サッチの声に早くもエースが嬉しそうにが駆け寄る。
他の面々もぞろぞろと集まってきた。
にこにこ、と笑顔を振りまいてみんなに出来立てのクッキーを振舞うサッチ。
「うめぇ!」
「だろ?今回はいい粉が手に入ったからな。最高だろ」
満面の笑みをエースに向ける。
・・・気にくわねぇ。
微笑ましい光景の中、不機嫌なものが一人。
「あっ!マルコ。お前の分もちゃんとたっぷり用意してあるぜ!」
今もってくるからな、と再びキッチンに向かうサッチの腕をマルコが掴む。
「ん?なんだ?」
「・・・菓子はいいよい」
「えぇ?お前もクッキー好きだろ?それに今回のはマジで自信作なんだぜ。もしかして体調が「今はお前が欲しいんだよい、サッチ」」
ゆっくりと耳元で囁く。
「えっ」
言われた言葉の意味を理解した途端、サッチの顔が赤く染まる。
「そういうわけだから行くぞい」
「行くってどこにだよ!」
「わからねえかい?」
「!!!」
「ああ、俺の分のクッキーはちゃんと残して置けよ、お前ら」
そう言い残すと、抵抗するサッチを引きずってマルコは食堂を去っていった。
「・・・またか、マルコの嫉妬にも困ったものだな」
ビスタが呆れたように言う。
「サッチ、大丈夫かな・・・」
クッキーを頬張りながらエースも呟いた。
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