一目惚れ

出会いは、中学3年の時だった。跡部の家の夕飯に呼ばれた氷帝レギュラー陣。夏で全国大会が決まったとき。

「相変わらず豪勢だな」
「そうですね」

そんな会話を長太郎としながら席に着く。

「今日の料理は全部姉さんが作ってくれたんだ」
「どうも。いっぱい作ったからおかわり沢山していってね」

一目惚れってこの世にあるんだと知った瞬間だったと思う。それにしてもよりにもよって跡部のお姉さんなのだ。チャンスはあるようでないようなもの。これは率直に跡部に話した方がいいのか。その日は何も出来ないまま時は過ぎて行った。


「最近、お前調子悪くないか」
「……跡部か」

ベンチで小休憩をとっている時跡部に声をかけられた。何か悩み事か? そう聞いてくる跡部。とてもお前のお姉さんの事など言えない。しかし、タイミング的には今なのか……?

「悩み事って言えば、悩み事なんだけどな」
「何だ? 恋愛相談か?」

冗談混じりなのか本気なのかよくわからない。半分ヤケにそうだと言ってしまった。

「誰だよ」
「…………」

俺の姉さんだろ。跡部がそう言った。その反応は図星だろ。何となくわかってたよ。あの時から態度おかしいもんな。跡部は本当に人をよく見ている奴だ。

「別に俺はいいと思うぞ」
「……##name1##さんって好きな人とかいんのか?」
「さぁな。そういう話しはさっぱりだからな」
「いないみたいやで」

会話に入って来たのは忍足だった。何でお前が知ってやがる。跡部が不思議そうに忍足に言う。そういう俺もすごく気になる。

「俺の姉貴と跡部のお姉さん大学が一緒やねん。この間遊びにきとった時に聞いたで」

忍足の姉さんとね。仲ええの知らんかったん?知らなかったな。初耳だ。

「年下とか大丈夫なのか……?」

独り言だったつもりなのに、バッチリ2人に聞かれてしまった。今度差し入れかなんか持って来てとか言っといてやるよ。その時声掛ければいいじゃねぇか。これはもう頼るしかない。

「頼む」
「わかった。練習行って来い」

数日後跡部が言ったとおり、##name1##さんが差し入れを持って現れた。跡部と忍足が上手く配慮してくれて今は2人きり。何話せばいいんだ? パニくっている俺をよそに##name1##さんはキョロキョロ校舎を見ている。

「懐かしいな」
「氷帝の卒業生でしたっけ?」
「うん。中3の時1年間だけなんだけどね」

そうなんスか。宍戸君だっけ? あっはい、そうです。今度全国大会があるんだよね? あっはい。開催地枠なんですけど。

「そうそう。そうなんだよね。景吾が言ってた。でも、よかったね。大会出れて」
「はい。今度こそ青学に勝たないと……」
「すごい練習頑張ってるもんね」

この熱気見てたらよくわかるよ。全国大会っていつなの? 2週間後です。

「そうなんだ。景吾とか3年は最後だもんね。確か空いてる日にちだし、応援に行こうかな」

これはまた会えるチャンスだ。ぜひ、来てください! そうだね。宍戸君のダブルスだっけ? も気になるし。うん。忍足君のお姉さんも誘って一緒に行くかな。その時はまた差し入れ持ってくね。

「楽しみにしてます」
「じゃ、練習の邪魔になるからそろそろ帰るね」
「差し入れありがとうございました」
「いえいえ。じゃあ、また今度ね」


一目惚れ
(次のチャンスは全国大会)





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