Brothers and sisters

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「あぁ、ういさんか? 跡部が潰れたから迎えに来てくれへん?」

という電話があったので、迎えに行ってくるねと愛しの旦那様に言って迎えに出た。パジャマにしている部屋着用のワンピースの上から上着を羽織り、車に乗り込んだ。

電話があったのは忍足君のお店。カランとドアにある飾りがなる。店の奥からいらっしゃいと低い声が聞こえた。

「悪いんですけど、そこのCLOSEの札かけといてくれません?」
「了解」

札を持ってドアノブにひっかける。ありがとうと声。店内を見渡すとぐったりと横になっている弟の姿。あんな姿憧れてる人達が見たらなんて思うのかしら。カウンターに座るとリンゴジュースが出てきた。

「何で、私に電話なのよ。景吾の彼女は?」
「別れてああなってるんですよ。」

あーあ。今回の彼女は本気だったのに。このままだと景吾結婚できなさそうだな。そしたら私の家の子供が継ぐ事になるのかしら。旦那は婿養子だから。

「宍戸はもう帰ってきてますよね」
「そうよ。これから夫婦ラブラブな時間だったのに」
「ういさんのブラコンもすごいですね。まぁ、跡部のシスコンも相当ですけど」
「アハハハ。支え合ってきた姉弟ですから」

リンゴジュースを一口。景吾に目をやると寝ているのか起きているのかわからない寝返り。意識が朦朧としているのはよくわかる。近づいて声をかけると、返答なのかよくわからない掠れた声。つい溜息をしてしまう。

「忍足君ん所泊まらせてもらえない?」
「今日彼女来てるんですよ」
「そりゃ無理だ」

カウンターに戻って残ってたリンゴジュースを一気飲み。忍足君がいい飲みっぷりと一言余計。車まで運んでやって。先に店を出て、車の後ろを開ける。少しすると肩を借りた景吾がよたよたとこちらに来た。

「悪いな、姉さん」
「車の中で吐かないでよ。忍足君ありがとうね」

運転席に乗り込むと景吾も後ろでフラフラと乗り込み、忍足君が後ろの扉を閉めてくれた。バイバイと手を振って車を発進。意識がハッキリしてきたのかミラー越しに後ろの席を確認をすると項垂れながらも座席に座り直していた。ミラー越しに声をかけると、目が合った。

「寝てなくていいの?」
「寝てた方が酔う」

ふーんと相槌。ねぇ、彼女と別れたんだって? 仕事ばっかで会えねぇのが嫌だったらしい。そうなんだ。まぁ社長様は忙しいもんね。お前ん所の息子にやっぱ継いでもらうか。何で今そういう話になるのよ。というか結婚しなさいよ。そういうと頭を抱えた景吾。

「結婚かぁ。もう女はいいかな」
「それは勝手だけど。それに直君には好きな道に行ってもらいますから。亮だって下請けで普通のサラリーマンなんだから」
「姉さんは仕事辞めたいと思った事はねぇんだ」

無いね。考えた事も無い。景吾に継ぎ私も跡部の中でそれなりな役職で働いている。だから亮もそんな堅苦しい場所で働かなくてすんだのだけど。しかし、亮もよくこっちに来てくれたものだ。そんな話しをしていると景吾の家に到着。

「はい、着いた。歩ける?」
「大丈夫だ。悪かったな」
「いえいえ。じゃ、またね」



Brothers and sisters
(亮?今から帰るね)
(おう。気を付けて帰ってこいよ)

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