お帰りと距離を縮めて

「……何してるんだ?」

おかえりさなさいのキスがしたくて一所懸命背伸びをしていたら、そう言われてしまった。素直にキスをしたいと伝えたら、小さくクハハと笑われてしまった。

「笑わなくてもいいじゃんかー!」

軽くペシペシとその大きい体を叩く。結局キスは出来ずにそのままサーは自分の部屋へと入って行ってしまった。私もその後ろ姿を早足で追いかける。部屋に入るとバサッとコートを脱いで椅子の背もたれにかけ、ベッドに座って首元を緩めている。その姿に見惚れているとサーと視線が合った。少しいたずらげに笑ったかと思うと砂に代わったサーの腕が私を後ろから押して私はあっという間にベッドに腰掛けるサーの膝の上へ。

「そういえば、今日美味しい紅茶をロビ ンさんからもらったんですよ。飲みます?」

距離が近く恥ずかしいのを隠そうとふと思い出した事を口走る。とりあえず離れようと思い紅茶を淹れますねと膝の上から退くと次は鉤爪で腰を引かれてまた膝の上に。

「紅茶入りませんでした?」
「お帰りのキスは?」

これならできるだろうとさらに腰を引き寄せられる。顔が近くになるに連れて顔が赤くなっていくのがわかる。サーを見ると期待をしている顔。これはするまで離してくれなさそうだ。そう悟ったとしても向こうからそう要求されると出来ないもので。

顔を真っ赤にしながらうろたえてどうしても出来ない私に対してサーはこの状況を楽しんでいるのかどこか嬉しそうだ。離して下さいと頼んでは見たけど、予想通りそれは出来ねぇなと返って来て。選択肢がない私は手をサーの胸に添えて顔を近づける。

「あのあんまり見ないで欲しいんですが……」

恥ずかしさは増すばかりで。でも、ここまで来たらするしかなくて距離を縮めてキスをした。短い触れるだけのキスをして唇を離すと可愛いじゃねぇのと言われ、後頭部をぐっと引き寄せられサーからすぐに深い口付けをされた。唇が離れて私の顔にはさらに熱が集まっていた。

「紅茶でも飲むか?」

とにかく恥ずかしくて淹れて来ます! と勢いよく部屋を出た。

お帰りと距離を縮めて
(そんなところが可愛くて)


+++
夢主ちゃんをからかいたくなったサー




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -