朝の挨拶を繰り返して

朝9時。と言っても年がら年中夜みたいなところだが。起きてきたウイはぶかぶかなパジャマで袖を鬱陶しそうにしている。いつも彼女はとても無口だが礼儀はきちんとしているのでおはようと言うのだが今日は様子がおかしい。おはようも言わず俺を見て、いた……と呟いただけだった。昨日今日と出かけては無いし、昨晩にいたっては一緒に寝ていたはずなのに、なぜそんな事を呟くのか不思議に思った。

「ウイ?」

名前を呼ぶとよかったとふわり笑い、こっちにのそのそと歩いてきて、椅子に座っている俺の上に跨って猫が擦り寄ってくるように、全体重を俺に預けてきた。普段はこんな大胆な事をしないウイ。さすがの俺も何かあったのかと心配になる。

「よかった……」

また、そう呟いたウイの腕はわずかに震えている。でも、どこか不安から解放されたように安心している姿を抱きしめると、ウイも強く抱き返してくる。少し落ち着いたのかようやく理由を話してくれた。

「あのね。ミホークがいなくなっちゃう夢を見たの。朝起きたら隣にいなかったから正夢かと思ったの」

夢の中の俺にウイを不安にさせるなと言ってやりたいものだ。すまなかったと夢の中の自分の代わりに謝罪をするとまたふわりと笑った。


朝の挨拶を繰り返して、
(ミホーク。おはよう)
(ああ、おはよう)





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