最後の特別

「誕生日おめでとう」
「祝われる年でもないけどな」

だって、祝っておかないと来年からの誕生日は一緒にいられないのは、知ってるから。
計画実行の日はすぐそこまで来ているのは知ってる。
何も言わない。私は何も知らないの。

「……何かプレゼントでもあるのか」
「クロコダイルってそんなこと気にするタイプだっけ」
「ちょっとウイにノってやっただけだ」

普段はすごく怖いけど、なんだかんだ優しいところが好きで。
プレゼントは用意してるけど、ちょっとからかってやろう。

「プレゼントあるよ。私だよ」
「…………」
「嘘! 嘘!」

一瞬目がマジで焦った。
何されるかわかったものじゃない。
私は急いで、準備していたお酒を取り出した。

「お酒です。その、詳しくないのでいつもクロコダイルが飲んでる系統を選んできたのだけれど」
「まぁまぁなもの選んできたじゃねぇか」

ラベルを見てこの言葉。
いつもと口調は変わらないけど、顔は嬉しそうだからどうやら当たりだったようだ。
グラスを2つとりにいき、テーブルに並べる。

「珍しいな。飲むのか」
「うん。たまには」
「飲むのはいいが、これかなりキツイぞ」
「んー、一口だけにする」

瓶の栓を開け、お酒を注ぐ。
乾杯をして一口。喉が熱くなって、少しむせてしまった。
これを普通に飲むクロコダイルすごい。

「おいしい?」
「あぁ、うまい」
「よかった。じゃあ、私午後の仕事に戻るわ」
「午後の業務、ルーレット台の入れ替えだったよな」

そう、と答えると同時に電伝虫の元へ。
どこかへ連絡だろうか。
通話が終わると、どこか嬉しそうなクロコダイル。
一体何だろう?

「クロコダイル?」
「今日の午後と明日は休みでいい」
「ん? どういうこと?」
「ルーレット台の入れ替えは明後日にしてもらった」
「はい。え、何で?」
「もうひとつプレゼントがあっただろ」
「何かありましたっけ?」

……私……か?
いや、あれ嘘だしな。
……ん? 私今から休み?

「クロコダイル。えっと、あれ嘘」
「嘘でも俺が欲しいものが目の前にあるのだから、もらっとくに越したことはねぇよな」

腕をひかれ、口づけをされたが最後。
私からも口づけをすればそれが合図。

最後の特別




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