72時間待ち焦がれ

本部で会議があり、3日間ほど帰れなかった。会議中も移動中も食事の時もずっと頭にあるのは、レインディナーズに置いてきたウイの事ばかりだ。それほどまでに心配なら、連れて来ればいい話だが、連れて来たらきたで、周りにからかわれたり、ウイにちょっかいを出す輩ばかりでどうにも落ち着かなくなるのだ。

会議中、話の流れをなんとなしに追っていると近くの席から声をかけられた。

「おや? ウイは連れて来なかったのか」
「ウイちゃんいないのかー。残念。楽しみにしてたのに」

上から鷹の目、鳥野郎。そうやすやすと連れて来るかよと返すとなら会いに行くまでだと言い出した。関わるのが面倒になったので、つまらない会議に耳を傾けた。

会議が終わり席を立とうとしたら三大将に呼び止められる。何か重要な用件なのかと話しを聞くと3人の口からはウイのことばかりだ。どいつもこいつも。つまりは、連れてこなくても周りはウイに興味津々なのだ。

3日振りに帰ってきたレインディナーズ。やっとウイに会える。いつの間にか近くにいたミス・オールサンデーに顔が緩んでいると言われた。

「うるせぇ。そういえばウイはどこにいる?」

さっきから姿が見当たらない。どこにいるか知らないか? とミス・オールサンデーにバナナワニの所にいると教えられた。

「貴方が外にもレインディナーズのフロアにも行くなって言ったからこの3日間で随分バナナワニと仲良くなったみたいよ」

そうかとだけ返し、バナナワニの水槽に向かう。扉を開けるとウイが水槽の前に座り込んでいた。扉が開いたことに気づかず、バナナワニと首を傾げあったりしている。可愛いことしてるじゃねーか。その光景をぼんやりと見ていたらウイがバナナワニに向かって話し始めた。

「早くクロコダイルさん帰って来ないかなー。1人じゃ退屈だよ」

そう言ったウイの前で俺達がいると言わんとばかりにバナナワニが行き来をする。なぜかペットにウイを取られた気がして、無意識にバナナワニを睨みつけていたらしい。その視線に気づいたバナナワニは何かを感じ取ったのかウイの前から離れていく。その様子を不思議そうに見つめるウイ。さっきのバナナワニの目線に気がついたのかようやく俺の存在を認識したようで。

「……クロコダイルさんだ」

俺を視野にいれるなりこっちに向かって小走りで駆け寄ってくる。抱きつかれる瞬間に俺は姿を砂に変え、ソファへと移動した。抱き着こうとしていたウイはいきなり目標物が無くなりこけそうになっていた。体制を持ち直したウイはこちらを見て意地悪しないでくださいという顔をしている。

「悪い。悪い」

ほらと俺がこっちにこいと手招きをすると機嫌を直したウイが膝の上に座りおかえりなさいと微笑んだ。


72時間待ち焦がれ




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -