暇なので
静かな空間。唯一聞こえるのは、紙の捲る音とペンがはしる音。何もすることが無く、サーの仕事部屋に来て見たけど、相手をしてくれない。当然といえば当然か。そこらにある本を手にとって読み出してみるけど、ちっとも面白くない。サーの脳内は理解不可能だ。
「サー」
飛ばし読みをしながら、反応を期待せずに名前を読んでみる。当たり前だけど反応は返ってこなかった。
「サー。サー? クロコダイルさーん」
「うるせぇ」
仕事をしていた手が止まった。あれだけ呼ばれたら誰でも反応するか。ましてや、仕事中だし。
「サー、ヒマー」
「俺は忙しい」
うん。知ってる。あー、ホントにヒマだ。そういえば、サー、休憩もせずにずっと仕事をしているな。休憩か。休憩……。休憩!! コーヒーでもいれるか!
「サー、少し休憩しません?」
コーヒーを邪魔にならないところにおくと、小さくそうするかと聞こえた。自分の分には砂糖とミルク。元の場所に戻って、なんとなくまた本を読み始める。
「お前はさっきから何をしている」
「特に何も?」
ベッドみたいにフカフカなソファーに寝そべる。眠くなってきたな。机に本を置いて、クッションを枕がわりに寝る体制を整える。もう1人分ソファーが沈んだような気がしたが、もうすでに私は夢のなかだった。
「ったく俺の気散々散らしかやがって」
暇なので
(寝てやがる)