鳳君が試合をしかけてきた!
. 「テニス部のお方ですよね?」
「話しが早い! 勝負してください!」
「断る!」
お昼ご飯を食べている所に現れたこの人は鳳君と言うらしい。まぁ、なんとも名前負けしていないお顔で。
「というか、何でお昼ご飯の時に来るんだよ」
「だって昼食べてる時って逃げれないじゃないか」
「テニスだってできないよ」
「いや、部長に許可もらったんで!」
「もらったんだってそんなニコやかに言われても。そうだ、その部長に言っておけ。テニス部のヤツらが最近迷惑を掛けにくると」
「帰りに迎えに来るからね」
そう言って鳳君は行ってしまった。テニス部は人の話が聞けないのか。部長の指導がなっていない証拠だ。
そうヤツは言っていた「帰りに迎えに来るからね」と。掃除の時間が始まって10分しか経っていないのに、鳳君のクラスはもう終わったという。
「先生なんてちょろいちょろい」
笑顔で言うこの人には何か黒いモノを感じる。こっちにも担任が入ってきて一旦鳳君が教室を出る。あの人こっち見ながら俺の事監視してるよ! 何あの人! どう逃げようか考えていたらHRが終わった。
こっち見てるこっち見てる。近づいて来た!!
「じゃ、鳳君。元気で! バイバイ!」
「待て」
頭をガスッと掴まれた。これ人間から出ちゃいけない音が出たよ。痛い痛いと騒いでる間に連れてこられたのは、やはり緑豊かなコート。
「じゃ、やろう」
そう言ってコートで準備を始める鳳君。俺また上靴だよ。またまたこの間シューズを借りた人を見つけた。
「先輩ですよね? この間貸していただいたの?」
「あぁ、そうだが。……あぁ、またか。」
「そうなんです。先輩名前聞いてもいいですか?」
「俺か? 俺は青木だ。」
「青木先輩ですか。俺は直です。」
名前を聞いてシューズをまた貸してもらう。
「じゃ、サーブ権を」
「俺サーブが得意なんだよ! だから受けてみてよ」
一球入魂と言う言葉とともに放たれたサーブ。あっ、手こねた。クセを見ながら返した。
ドビシッ
またもや鳳君も反応できなかったみたいで。
「いっとくけど、1球だけだから「一球入魂!」
「え? え!?」
(なぜか鳳君の黒オーラには勝てない)
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