日吉君が試合をしかけてきた!

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「お前だよな? 直は」
「? どちら様?」
「テニス部の……」

テニス。俺の中の危険信号が鳴り響く。

「そう身構えるなよ」
「してねーよ」

そう言いながら相手のキノコ君も俺を追い掛ける気満々な態勢になっている。

「テニス部の日吉だ」
「日吉君かー。あんまりよろしくしたくないね」

そう言って俺は逃げ出した。先生の廊下を走るなっ! という声もなんのその。待て! と追い掛けてくる日吉君。逃げてるヤツに待てと言われましても

「マジ困ったなー」

校舎を出ると、適当に撒こうとさっきより加速して走り出す。ちょっと後ろを見ると、若干息切れ気味な日吉君が見える。

「ヤツは短期型なのか?」

そう言ってもさすがはテニス部。執念で追い掛けて来る。ふと広いところに出た。目の前にはテニスコート……

「自分からここに来てくれるとはな」
「そういう怪しい顔は女の子に向けると喜ぶんだよ。日吉君」
「まぁ、いい。俺と勝負しろ!」

話しを聞けないのかコイツは。後ろに逃げ場は無い。観念して差し出すラケットを手にする。

「そういや上履きのまんまだわ」

日吉君の足元を見ると律儀にシューズに履き変えていた。ということただ遅れていたわけではな履き変えていただけか。俺も体力が落ちたもんだ。周りをキョロキョロして適当な部員にシューズを借りる。

「うし。ぴったし」

すでにコートで準備をしていた日吉君に1球だけだぜ! と声を掛けてサーブ権を先にもらった。

「行くぜ!」

ドビシッ

日吉君は反応する事は出来なかったみたいだ。はい、終了ー! とわざと大声でいうと下剋上だと返って来た。

(いやいや俺達同い年だから)

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