跡部さんが勧誘をしてきた!

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ピーンポーンパーンポーン

“大至急2年A組直は生徒会室へ来い”

俺はこんな放送が入っているのは知らなかった。教室で寝ていて少し寝ぼけ眼で起きたら樺地君がいた。

「樺地君? 何か用だったか? ごめん。気づかなくて、えっ、ちょ樺地君!?」

俺は樺地君に担ぎ込まれてなぜか生徒会室の前まで連れて来られた。

「生徒会室……? 俺なんかしたっけ?」

最近はテニス部の相手ばっかしてたからそこまで悪事を働いてないはずだ。ん? でもそれは生活指導とかに行くハズだしな。

「なぁ。樺地……君?」

樺地君に理由を聞こうとして横を見たらもう居なかった。きっとお昼ご飯の途中だったんだな。ごめんな樺地君。

とりあえずこんな廊下で突っ立ってるのもなんなので生徒会室の扉を開けた。若干学校の応接室を感じさせる様な社長室。そんな言葉が似合いそうな生徒会室だ。

1番遠い机に目をやるとまさに社長室。社長の椅子に座った偉そうな人がいた。

「やっときたな」
「あっ。カラコン」
「あ?」
「あぁ、目青いじゃないですか。カラコンかな? と思いまして」
「違げーよ。元からだよ」
「そんな綺麗に人類産まれるもんなんですね」
「とりあえず座れ」

見るからに座り心地の良さそうなソファに座る。実際ふかふかで心地が好い。

「というかすみません。どちら様ですか?」
「テニス部部長。跡部景吾だ」

顔が引き攣っている跡部さん。そうか今までの首謀者はこの人か。ていうかこの人が跡部さんね。

「まぁ、最近テニス部のやつらからも散々言われてるろうから率直に言おう。テニス部に「入りません」

そう言ったのに入部届けとボールペンを目の前に出される。何だ? 嫌がらせ?

「あのですね。宍戸先輩にも言ったんですけど」
「遊んでいてーって話しだろ。聞いてる」

ジーッと顔を見てくるからこっちもジーッと見る。目の下に泣きボクロがある。この人ほんとは泣き虫なんかな。泣き虫な人は泣きボクロ出来るって聞いた事がある気がする。

「やる気が無いヤツが部活入ったってしょうがないと思いません」
「ふん。確かにそうだな。じゃあ俺と試合しろ」

ホントにこの人達は人の話しを聞かない。この人が部長だという事にものすごく納得出来た。

「青木先輩。これでここに来るのは最後になると思います」
「しかしなー、跡部は強えーぞ。大丈夫か?」
「大丈夫って何がですか?」

青木先輩の靴を履いて靴紐を結びながら聞く。青木先輩新しい靴ですね。いいんですか? 俺が履いちゃって。気にするな。

「そうだ。そうだ。なんか跡部が言ってたぞ。俺様が勝ったら直が部活に入ってくれるって」
「へ? 俺? 何ですかそれ!」

あのホクロ。嘘言ってんじゃねーよ! ぶっ倒す。

「サーブ権と一球だけだよな?」
「ええ。お願いします」


(俺様の美技に酔いな!)
(いっ、今の何! え? ドビシッ)
(ふっ、俺様の勝ちだな)


今のは反則だと思う。どうしよう笑いが止まらない。

「おい。直笑い過ぎ」
「だって……宍戸先輩! アハハ、ひっ、美技って。……美技って! ひっ、腹っ痛っー。痛い痛い」

(こんな俺の姿を見て勧誘は諦めてくれたみたいです)
(何だったんだ。テニス部)




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