教卓まで4cm

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あの後、仕事の話をたくさんして店を出た。あれから一切恋愛の話は出なかった。時計は9時手前。2時間くらいいたのか。

「先輩俺車なんで送って行きますよ」
「うーん。いいや。景吾に迎えに来てもらう。今日は仕事の話出来て楽しかったよ。また飲もうね。て言っても今度は日吉が電車の時だね。付き合ってくれてありがと」
「俺の方こそありがとうございます。じゃ、俺先に行きますね」
「うん。バイバイ」

俺は車に乗り込みもう一度先輩に軽くお辞儀をして車を出した。そうか、跡部さんとまだ続いてるんだ先輩。そんな事を思いながら家へと車を走らせた。

それからテストも終わり居残り勉強も無くなってしまった。美鈴の授業態度もいつもと変わらずあっという間に3年生に上がっていってしまった。


そして、季節も過ぎ去りもう2学期の終わり。今日は終業式だ。終業式に出ている間自然に美鈴を目で探している自分がいた。

「一同礼」

式が終了し体育館後ろの扉を開けて、生徒を誘導していた。一瞬美鈴を見つけたが向こうはこっちに気づいてはくれなかった。久々に見た美鈴は少し大人びていた気がした。



先生は私の事を生徒としてしかみていない。それに、気になる人がいると言っていた。それは私じゃない事はあきらかだ。だから、きっぱり忘れようと先生に近づくことは無くなった。

今日は2学期の終業式。式自体は終わり成績表ももらった。もらった成績表を見てみると相変わらず古典の成績はよかった。忘れられていない自分に笑っていると隣からひょいと友達に覗かれてしまった。

「あ! 見るならそっちのも見せてよ!」
「いいよー。やっぱういは古典の成績いつもいいね。得意分野?」
「うん。まぁ、そんなとこ」

きっぱり忘れてしまいたいけど、古典の教科書は悲しいことに3年間一緒だ。あの居残り勉強の時先生は私の教科書を使って教えてくれていた。書いてくれたメモを消さずに残してしまっているから見るたびに思い出してしまう。机の中にしまってある古典の教科書に思いをはせているうちにHRも終わった。

結局未練タラタラの自分がいる。廊下でたまたますれ違った時とか今日だって生徒を誘導する先生を見ていた。

(ドキドキしたのは嘘ではない)

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