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やっと書類が片付き時計を見やる。さっきから話し声は聞こえるからお客さんはいるんだろう。ういちゃんには早めに休憩に入ってもらおうと表に向かった。この低い声。高杉か。今日は随分早く来たんだな。すると、独り身同士どっか出かけるか? なんて声が聞こえた。不意にういちゃんがどういう対応をするか気になり身を潜めてしまった。

聞いているとあっさりと出かける事になり連絡先を受け取っていた。それにあの声のトーン。付き合いが長いからわかるがういちゃんの事狙ってる。ういちゃんはただ遊びに行くだけと思っているのが幸いだ。少し苛立ちながら表に出てういちゃんが取ろうとしていたビンを取って少し強引だが休憩に入ってもらった。ういちゃんが裏に休憩に入ったのを確認しながら、高杉に注文を聞く。

「何頼んだんだ?」
「ジントニック」

俺がかなり無愛想だったのが予想通りとでも言うように笑った顔が腹立つ。作った酒を少し荒々しく出すとおいおい、俺客だぞ? と冗談めかしてくる。

「俺のういちゃんに勝手に手出さないでくれる?」
「俺のって……。別に付き合ってる訳じゃあるまいし。俺が遊びに誘ったって関係ねーだろ」
「前聞いたけど、ういちゃんお前の事憧れてるだけだってさ」

残念だったなと笑ってやると今度遊びに行ったときどうなるかわかんねーよ? と悪戯な笑みで笑い返してくる。こいつの余裕はどこから来るんだ。俺なんかほぼ毎日会ってるのにいつも何も言えずに終わっていく日々なのに。この違いに頭を抱える。

「高杉、それ飲んだらもう帰れよ」
「そんな怒んなよ。お前の店が潰れないように飲みに来てやってるのものあるんだがなぁ」
「余計なお世話だ! ういちゃん目当てのそこらのおっさんと変わんねーくせしてよ」

高杉はタバコを吸いながらその言葉そのまま返すはとやっぱり余裕だ。ダメだ。苛立ちが収まらない。

「ってかいつから知ってたんだ? その……俺がういのこと好きってのに」
「最初のほう。どうせ働き者のういにこのまま店にいてくれなんて思ってたら好きになったクチだろ」

バッチリ言い当てられ何も言い返せない。黙り込んでしまった俺にもう一杯同じのと注文が入る。ジントニックを作りながら高杉はいつから好きだったんだろうなんて考える。それよりこの会話。俺の嫉妬心が醜すぎて自分で呆れる。作ったジントニックを出しながらお前は? と聞いてみた。

「銀時の世話できる女なんておもしれーじゃねーか。それでいて気が利いていい子だしな」

確かに気が利く。随分と店の回りが良くなったし。いろいろ助かってるしそれより何より側においておきたい。何てこの歳で思ってしまうなんて相当ベタ惚れなんだな。俺。自嘲しているとジントニックを一気した高杉の口が開く。

「まぁ、俺たちがどうこう言ったって結局はうい次第だけどな。帰るわ? いくら?」

会計を済ませておつりを渡すと今度来たときは俺の女かもなァと言って帰っていった。何で俺こんなに煽られないといけない訳。裏で携帯片手に休憩するういちゃんの姿を思い出す。

扉が開きお客さんが入ってきたので一旦考える事を止めて俺はカウンターに戻った。



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