癖のある甘さに口づけを
「また勝手な行動をしたらしいじゃねーか」
「何の話ぃー?」
情事後に仕事の話しを持ち出してくるなんてなんか嫌な男。そんな嫌な男の女が私なんだけど。何番目の女かは知らないけどね。
「今日は取引だったろ?」
「行ってきたよ。でも相手が約束と違うものを持って来ちゃってたしぃ。向こうは最初から取引に応じる気なんてなかったんじゃない?」
私が笑うとジンは不機嫌そうに私に背を向けそういう時は殺せと言ってるだろと言ってきた。確かにあのお方からもそう言われてるけど出来ないものは出来ない。いや、世間的には死んだことにはなっている。私はただ殺しは気分が悪いだけで善意で逃がしてやっているのに。
「っていうかジン何で私が逃がしてるって知ってるの?」
「調べればすぐわかる」
「じゃあ、何で上に報告しないの?」
……黙ってしまった。組織からしたら私のしている事なんてすぐにバレて私が組織に殺されているはずなのに、私は生きている。別にいいか。命はあるんだし。私は黙って背を向けたままのジンを置いてベッドから出る。ベッドの周りに散らばった下着を拾い身につける。
……冷蔵庫にチョコレートあったなぁ。そんなどうでもいい事を思い出しフラフラと冷蔵庫に向かう。軽い力をかけると開く冷蔵庫。黒くて平たい箱を取り出しベッドに戻り腰をかける。いくつか食べてしまっているので後残っているのは数個。チョコレートの中には何も入ってないけどこの濃厚な甘さが大好きだ。
後ろから起き上がる音が聞こえる。帰るのかなと思っていると腰に手が回ってきた。口の中でコロコロとチョコを転がしているとジンに顎を捕まれ無理矢理キスをされてしまった。
口の中で熱く甘いチョコレートがドロドロと溶けていく。ジン甘いの嫌いなのにな。何度か角度を変え噛み付くようなキスが終わるとジンは唇を離し甘ぇと呟いた。
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チョコとキスを書きたかっただけ